2020年株式相場におけるとても大切なポイントとは

「額歴」がぐんぐん上がる経済ホットレ
2019年も年の瀬を迎えました。随分と冷え込む日も多くなりましたが米国の株式市場は熱気を帯びています。2020年オリンピックイヤーの株式市場を読み解くヒントを見ていきたいと思います。
2019.12.13

2020年米国企業の業績は好調の見通し

日本の株式市場見通しを予測するには、やはり世界の経済を牽引する米国経済の動向、そしてそれを先取りする米国株価の動向を的確に見通すことが欠かせません。まずは2019年の米国ダウ工業平均のパフォーマンスを簡単に振り返りたいと思います。2019年の米株式は経済指標の低調さと相反してとても好調に推移しました。2018年12月24日にNYダウが21,792ドルの安値をつけて以降、そこから5月、8月の受給の調整をこなしながら2019年11月27日に最高値の28,164ドルをつけ約29.2%もの上昇を達成しました
この高値更新にはいくつか理由があります。
1)米国のFRBが利下げを行う金融緩和策へ政策転換したこと
米国の金融政策がリーマンショック後初めての利下げに転じました。経済環境、特に米中貿易戦争を見据えた保険的な利下げを行う決断を下したことで株価の下支えになりました。また、短期の政策金利だけではなく、10年の長期金利の動向が経済を底支えしたことを忘れてはいけません。
2018年10〜12月の市場からの催促を受け、バウエルFRB議長が利上げの見送り、それだけではなく利下げの可能性を言及したことにより、米国10年金利は2018年末の約3.0%から2019年9〜10月の約1.3%まで大幅に低下しました。このことにより、年始に想定された米企業の業績悪化、米中貿易戦争による経済環境の悪化なども相殺された格好になりました。
2)2020年の米国企業業績は好調な見通し
上記のような金融緩和策で年央まで乗り切った米国株式市場ですが、やはり夏場以降は足場を固めるような焦れるような揉み合い相場に突入しました。しかし、11月以降から相場の基調が強気に変わってきます。それは、2020年の米国企業業績が好調であるといった金融各社より見通しが発表されてきたことが原因です。
2019年のS&P500の平均利益成長率は前年比で約1.5%程度で着地しそうです。ここ最近ではとても悪い実績になります。一方、2020年の同平均利益成長率は前年比で約9%〜12%(各社異なります)と回復基調が予想されています。
ご存知の通り株価は期待を織り込んで先に動き出します。現在の最高値を更新するような強い動きは、この来年の復活的な見通しを織り込んでいる最中であることを認識しておく必要があります。
主にこのような要因で米国株価は堅調に推移してきましたが、さて、2020年もこのトレンドが継続できるのでしょうか。

トレンドが継続するかは自分で確認できる

2020年前半にチェックすべきことは以下の3点だと思います。
1)1〜2月中の米企業の決算発表
米国企業の2020年における利益成長率(前年比)は各社平均で9〜12%となっています。これらの予想のベースには、中国貿易戦争のソフトランディングやFRBの低金利政策の継続などを織り込んだ見通しです。このような諸条件の変化により業績見通しはいとも簡単に変化していきます。まずは、この1〜2月に期待値である9〜12%を超える見通しが出れば現在のトレンドが継続する可能性はありそうです。
2)3月3日の米国大統領選挙のスーパーチューズデー
スーパーチューズデーは、各候補者の経済対策や優劣が見えてくる日です。各候補者の政策が、株式市場にとってフレンドリーであるかどうかを株式市場が株価で示していきます。11月までの8カ月間は候補者の選挙情勢により一喜一憂する相場になりますが、候補者の絞り込みが進む段階でその後のトレンドが見えてくることになります。
このように、2020年の前半は米国中心に進んでいきそうですが、珍しく日本独自の要因が株価に大きな影響を与える可能性があるかもしれません。
12月5日に政府は臨時閣議を開き、復旧・復興や景気下振れリスクに対応するための新たな経済対策を決定し、民間支出を含む事業規模は26.0兆円程度で財政支出は13.2兆円の大型経済対策を発表しました。この経済対策関連の補正予算は2月から3月にかけて成立する見通しで、これを受けて株価は上昇へする可能性が高いと思われます。あるレポートによると、財政支出が5兆円を超える大型経済対策の決定から6か月間、株価には好影響を与え、その結果株価が約20%上昇したという実績があるようです。
まとめると、米国の企業業績が1〜2月、大統領候補の政策方針と優劣が見えてくるのが3月以降、そして日本の大型経済対策の効果が持続するのが5月までなります。そしてその5月は、あの有名なアノマリー「sell in May」。このポイントを踏まえ来年前半の株価推移をイメージしてみてはいかがでしょうか。
最後に大統領選挙と株価の豆知識。
大統領選挙の年の株価は、大統領選挙前年の株価に比べるとパフォーマンスが劣ることは有名なアノマリーです。これを当てはめると、今年の29%を超えるような大幅な上昇は期待できないということになります。
ところで、現時点ではトランプ大統領の再選可能性が高いといった報告が多いようですが、もし民主党に政権が変わった場合に使えるアノマリーがあります。それは、政権政党が入れ替わると、選挙の年と翌年で株価の騰落が逆転するといったものです。あるレポートによりますとその確率は約81%と信頼性が高いとのこと。このアノマリーに照らし合わせると、もし2020年の株価が好調に推移し民主党に政権が移ると2021年は株価が下落するということです。
これらをご参考に2020年の見通しを立ててみてください。

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渋谷 豊

ファイナンシャルアカデミーグループ総合研究所代表

シティバンク、ソシエテ・ジェネラルのプライベートバンク部門で約13年に渡り富裕層向けサービスを経験し、独立系の資産運用会社で約2年間、資産運用業務に携わる。現在は、ファイナンシャルアカデミーで取締役を務める傍ら、富裕層向けサービスと海外勤務の経験などを活かした、グルーバル経済に関する分析・情報の発信や様々なコンサルティング・アドバイスを行っている。慶応義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。
ファイナンシャルアカデミーグループ総合研究所 http://fagri.jp/
ファイナンシャルアカデミー https://www.f-academy.jp/

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