アメリカのリベラル・アーツ教育からみるリベラル・アーツとは
一般的にリベラル・アーツ教育は、専門知識ではなく、人文科学、社会科学、自然科学など心豊かに自由に生きるための知識を幅広く学びます。
日本ではリベラル・アーツは「教養」と解釈されるケースが多いです。しかし、教養があるというと、歴史や芸術に詳しいなど、知識の豊富さだけに注目されがちです。
他人の意見や情報を鵜呑みにせず、そこにある情報に納得できるか、賛成できるか、それは何故か、「What do you think? Why? 」と、とことん問われ、多面的、多角的な知識を生かし、様々な根拠を考慮した、説得力のある独自の意見を求められます。
教授であろうと、上司であろうと、自由な意見交換のできるこのような環境の中でリベラル・アーツの知識は生かされ、クリティカル・シンキング の力は育くまれるのでしょう。
リベラル・アーツ スキルに一目置く米企業のCEO
また、日進月歩のテクノロジーによって変化する労働市場の需要に対応しやすいリべラル・アーツ系の卒業者の採用も増えてきています。
なによりも、AIやロボットの活用で、雇用が減り始めている専門職が目立つなか、AIやロボットが苦手とするクリティカル・シンキングの力を鍛えられてきたリベラル・アーツ系卒業生に米企業CEO達が今後、ますますリベラル・アーツスキルが企業にとって重要だと期待を寄せているようです。
人間性を豊かにするリベラル・アーツ
しかし、グローバル化が進む中、外国人を相手とした商談や接待も増え、日本の新聞に出ている話題だけでは通用しないビジネス環境になっています。
そのため、話題の幅を広げたり、感性を磨いたり、決断力、思考力を鍛えたりなど国際性や品格を上げる教養力を養うことを目的とした、ビジネスパーソン向けの「リベラル・アーツ」講習や研修が人気を集めているのでしょう。
しかし、重要なのは、リベラル・アーツの知識をもつだけではなく、最終的には人として豊かさ、面白みが相手に伝わらなくてはなりません。
経済学者の竹中平蔵氏はプレジデントオンラインでの対談で「教養は人と人を結び付ける。英語をマスターすれば、世界各地で多くの人と会話ができます。ただし語学だけでは十分ではなく、政治や経済、歴史、文化などについて自分なりの見識を持てなければ話せません」と指摘しています。
参考記事:
Stop Bashing Liberal Arts Degrees. This New Analysis Shows They’re a Good Investment
ビジネスエリートが”教養力”を磨くワケ