経済コラムニストの大江英樹氏は、著書「定年楽園」で、定年後の最大の不安は、孤独になること、と書かれています。
その本を初めて読んだ時、僕は老後を乗り切るのはやっぱりお金でしょ、なんて考えていたので、孤独?と多少疑問に思いました。
その後、定年後の老後を乗り切るのはやはり、健康だなと思うようになりました。
つまり、健康なら働くことができます。
働ければ多少の収入があります。普通のサラリーマンだった人なら年金と合わせればなんとか食っていけるでしょう。
そして働けば、仲間もできて孤独ではなくなります。
また孤独でなくなれば、生きがいも生まれます。
そして生きがいが生まれれば、より働く意欲が増し、健康にもよいという良好なサイクルが生まれます。
しかし、このサイクルが狂うとどういうことになるでしょうか?
少し考えてみたいと思います。
孤独担当相を新設した国
昨年の週刊東洋経済11月3日号を読んで衝撃を受けました。
なんと「孤独」が国の経済に大きな影響を与えるというのです。
つまり「孤独」という現象は、個人だけの問題ではなく、国家レベルでの大きな問題ということです。
週刊東洋経済には次のように書かれていました。
年間約4.7兆円の損失。
これはイギリスで試算された、「孤独」が同国経済に与える影響額だ。人口約6,500万人のうち、900万人以上が孤独を感じているとされる。
イギリス政府は、「孤独担当相」というポストを新設し、対策に乗り出した。それだけ危機感が強いということだ。
ちなみにイギリスは特別孤独を感じている人が多い国ではありません。
統計だけ見ると、日本の方がずっと状況は悪いです。
例えば、単身世帯比率を見ると、日本は約35%とイギリスの30%よりも単身世帯の比率は高い国です。しかし、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、オランダ、オーストリア、フランスなどのヨーロッパ諸国は、日本よりも高い比率を示しています。
一方、家族以外との交流がない人の割合を見ると、日本はOECD諸国の中でもっとも割合が高い国です。
日本では、約15%の人が、友人、会社の同僚、その他社会団体(協会、スポーツクラブ、カルチャークラブなど)の人々との交流が「全くない」もしくは「ほとんどない」と回答しています。
この割合は、断トツで、他のヨーロッパ諸国が、10%以下なのに対して飛びぬけています。
ちなみにイギリスは、約5%です。
つまり日本よりも孤独比率の低いイギリスですら、危機感を持って孤独対策に乗り出しました。
孤独が原因と思われる事件
僕は、昭和30年代の生まれですが、30年代、40年代に比べれば、現代は犯罪が少なくなり少しは安全な社会になったと感じています。
しかし、高齢者や孤独が原因と思われる事件や事故が続いているとも感じていますし、今後増えるのではないかと不安視しています。
前出の大江英樹著「定年楽園」の冒頭でいきなり
「20年前に比べて高齢者の検挙数は約5倍、特に暴行犯は過去20年間で50倍」
と書かれています。
その原因として、元気な高齢者が増えていることと、元気なのに活躍の場が少ない、からではないかと分析をされています。
つまり定年後に退職して→居場所の喪失→何をしていいかわからない→友達がいないし、家族にも疎まれる→心身の悪化という悪いサイクルになるのです。
そして一旦孤独に陥るとそこから脱出するのは容易ではありません。
孤独にならないための勤老
大江氏は、孤独にならないためには自分の居場所を作ること、自分の居場所を作るためには働くことが一番の解決策と書かれています。
僕もその通りだと思います。
しかし現状の制度では、勤めている企業ではどんなに働きたくても65歳までです。
現在政府は、70歳までの雇用義務を検討していますが、雇う側の企業としては素直に受け入れられないでしょう。
また、働く側にしてもどんなに働く意欲があっても、雇用条件はあくまで企業側主導です。
そうなると僕のように飛び出して自営の道を選びたくなります。
最後に
現在の僕は、来月7月末で長年勤めた会社を辞めて自営の道を歩くことにしています。
どうなるかわかりません。
不安がいっぱいですが、なんとかなるとも考えています。
このコラムでもその後のリアルな現状を報告していく予定です。
今のところは、アルバイトしながらブログの運営などで生活費を捻出していく予定です。
そんなの無理だよ、という人がほとんどです。
でもやってみなきゃわかりません。
僕は手帳に次のような言葉を書き留めています。
「どんなに黄金を積まれても決して自由を売り渡してはいけない」
これは、大江氏の著書から取ったものです。
大江氏は、この言葉をクロアチアの城壁で見つけて、自分が探し求めていた答えを見つけたと思ったそうです。
8月からは孤独という不安を背負いながらも、自由を求めての船出となります。
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会社員人生 37年間続けてこられた理由
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