自分を高める手帳活用方法〜手帳に書くのはスケジュールだけじゃない

キャリア
手帳に書くのはスケジュールだけですか? もし、少しだけスペースが余っているのなら、自分を高めるオリジナルメニューも増やしてみましょう。今回は、コーピングリスト、ログ、トラッカーについて解説します。
2019.6.20

コーピングリストで感情をコントロールする

コーピングとは、何らかの問題に対処する「cope」に由来する心理学用語です。自分がご機嫌になる事柄をあらかじめリストアップしておいて、ストレス状態になったときに活用します。自分が喜ぶツボを正確に自覚できる点が、何よりのメリットです。
リストアップする事柄は、あくまでも自分を主体にして考えます。ペットショップ巡りとか、誇らしかった出来事を回想するとか、他人に理解してもらう必要はありません。
ストレスでネガティブになっているのなら、前向きで活発な気分に持っていくコーピングが好ましく、イライラと攻撃的になっているのなら、穏やかな精神状態を取り戻すのが先決です。このように、ストレス状態は毎回同じではないため、コーピングの項目も100個以上を目安としましょう。
大変そうと感じるかもしれませんが、リストアップの作業はとても楽しいものです。また、行動的コーピングと認知的コーピングを分類しておくと便利です。
行動的コーピングとは、「かなりの確率で機嫌が良くなる行為」を指します。例えば、飼い猫のお腹の匂いを存分に嗅ぐ、冷たい牛乳を飲みながら焼きそばを食べるといった自分なりの方法を思い出してください。
一方、認知的コーピングは「機嫌がよくなる考えや妄想、想像」に集中することです。他人に言えない妄想でニヤニヤする、幸福な記憶に浸る、行きたい旅行のプランなどです。

オリジナルログで自分を把握する

生活のうち、ひとつの項目だけを、継続的に記録するのがログです。日記ではありませんから、記録には表情マークや〇×△、簡易的なイラストを使います。
基礎体温や排便の有無、体調や精神状態の善し悪しをログにすれば、自分なりの心身の周期を把握するのに役立ちます。女性は月経があるため、嫌でも体調の変化に気が付きますが、男性は無頓着になりがちです。心身のログを作ることは、むしろ男性にこそおすすめです。
飲酒や外食をした日、コンビニやカフェを利用した日をログにすると、自分のお金の使い方や優先順位が見えてきます。ジャンクフードが増えるのは、ストレスがたまっているサインかもしれません。
日々の献立に悩むなら、食べたものを記録するミールログがぴったりです。献立のマンネリ防止、栄養バランスのチェック、レコーディングダイエットにもなります。2週続けて魚を食べていない! なんてことが防げます。

習慣付けにハビットトラッカー

ハビット(習慣)トラッカーは、習慣付けしたい事柄に活用します。夏休みのラジオ体操で、コツコツとスタンプをためていくイメージでしょうか。代表的なトラッカーのテーマは、細分化した家事(トイレ掃除、ベッドメイクなど)や資格取得の学習スケジュールです。スクワットや筋トレ、ウォーキングもよいでしょう。
わざわざトラッカーを作るのは、その事柄が、基本的にサボりたくなる内容だからです。これを自覚して、華やかな色を塗ったり、金銀のシールを貼ったり、とにかくこれでもかと達成感を得られるページにするのが大切。
あまりにも項目が多すぎると、トラッカーを使う習慣自体が危うくなります。比較的楽にクリアできる項目を、上手に混ぜておくのがコツです(例:寝る前に玄関の靴を揃えるなど)。

手帳の試行錯誤は自分を高める

デバイスとクラウドでスケジュール管理ができるにもかかわらず、それでも手帳売り場はなくなりません。どんなにITが進化しても、人間は未来永劫「手書きしたくなってしまう生きもの」なのかもしれません。
今回紹介した3つのオリジナルメニューは、主にバレットジャーナルやほぼ日手帳といった自由度が高い手帳の愛用者が実践しているものです。しかし、フランクリンプランナーやジブン手帳のように、緻密に正確なデータを積み上げることで、満足感を得るタイプもいるでしょう。どちらが最適なのかは、使ってみないとわからないのです。
どのようなタイプの手帳であれ、開いたとき、空白のページに罪悪感を覚えたり、びっしりでウンザリしたりするのなら、精神衛生上良いはずがありません。ひとまずは空いたスペースに、リスト、ログ、トラッカーを試してみませんか? 

参考「折れない心がメモ1枚でできる コーピングのやさしい教科書」伊藤絵美(著)宝島社,2017年