2019.5.27
自重で胸板を厚くするポイント
自分の体重(自重)を利用して胸板を厚くするためには、筋繊維の隅々まで高い負荷を与えること、そして胸の上部を鍛えることが大切です。
まず、筋繊維の一本一本にしっかり刺激を与えるためには、広い可動域が重要です。そのためには、トレーニング中に大胸筋をしっかりストレッチさせる必要があります。
また、低負荷高回数ではなく、高負荷低回数のトレーニングをすることも重要です。さらに、トレーニングの際はネガティブ(もとの体勢に戻す動作)を重視しましょう。ただし、自重トレーニングの場合、負荷が小さいためネガティブが効きにくいデメリットがあります。そこで重要になるポイントが、静止時間を長くとることです。
次に、胸の上部を鍛えることも重要です。実際に大胸筋を触ってみると、下部に比べ上部のほうが薄いことがわかるでしょう。この大胸筋の中で筋力的に弱い傾向にある上部の筋肉を鍛えることが、胸板を厚くするポイントになります。
このようなポイントを押さえてトレーニングすれば、速筋が発達しにくい、つまり筋繊維が太くなりにくい人でも、高い効果が期待できるでしょう。
トレーニング前のストレッチが重要
トレーニングの前に、準備運動としてストレッチを行いましょう。ウォームアップをせずにいきなりトレーニングをはじめても、効果は低くなるため注意してください。ストレッチは、筋肉の繊維に沿って行います。
まず大胸筋上部のストレッチです。体の後ろで手を組んで、胸を張りましょう。この時、手は後方斜め下方向に引っ張ってください。15~20秒間ストレッチします。
次に、大胸筋中部のストレッチです。右腕を真横に伸ばし、柱などに手をかけてください。そして、右胸を伸ばすように、体を左方向にゆっくり回転させましょう。筋肉がストレッチされていることを確認しながら、15~20秒キープしてください。左胸も同様に行います。
可動域の広いプッシュアップ
トレーニングは、可動域の広いプッシュアップ(腕立て伏せ)からはじめましょう。そのための準備として、両手の下に台になるものを置きます。本を重ねたものでもよいでしょう。そうすることで、上体を下ろしたときに大胸筋がしっかりストレッチされます。目線も重要です。トレーニング中は、まっすぐ下を見るようにしましょう。前を向いてプッシュアップをすると、骨格の関係で胸が前に出て可動域が狭くなるためです。
プッシュアップでは、脇の下に親指がくるようにし、まっすぐ下を向いた状態からはじめます。2秒かけて上体を下ろし、1秒かけて上げる動作を繰り返してください。上体を下ろす際は息を吸い、上げる際は息を吐きましょう。また、上体を下ろした時に、大胸筋がしっかりストレッチされているのを感じることも大切です。1セット12回、合計3セット行いましょう。
最終セットの12回目には、ひじが90度になる位置で体勢をキープさせてください。この時、静止時間が20~30秒で限界がくるようにします。もし30秒以上キープできる場合は、負荷が足りないことを意味します。その場合は、1セットの回数を増やしたり、1秒ではなく2秒かけて上体を上げたりするなどして、負荷を調節してください。
次の種目を開始するまでには、たっぷり3分以上休憩しましょう。
角度をつけたインクラインプッシュアップ
大胸筋の上部の筋肉量を増やすために、角度をつけたプッシュアップ(インクラインプッシュアップ)を行います。そのためには、足の位置を高くする必要があります。慣れるまでは、低いソファーなどで行ってください。筋力がついてきたら、机を利用するなどして、足の位置を徐々に高くしていきましょう。
インクラインプッシュアップでは、慣れるまでは手の下に台を置く必要はありません。また、腰が反りやすいため、トレーニング中は体幹を保つようにしましょう。腰が反ったまま行うと、思ったような効果が得られないだけでなく、腰痛の原因にもなりかねないためです。
トレーニング法は、足の位置以外、可動域の広いプッシュアップと同様です。最終セットの12回目に20~30秒静止することも忘れないようにしましょう。負荷が足りない場合は、さらに角度をつける、回数を増やす、スピードを遅くするなどして負荷を増やしてください。
まとめ
自分の体重を利用したトレーニングで胸板を厚くするためには、可動域と角度が重要です。そのためには、強いストレッチと大胸筋の上部を意識することが大切です。
ダンベルやマシンを利用しない自重トレーニングでも、やり方によって効果的に胸板を厚くすることができます。最終セットに静止時間を30秒近く入れるトレーニングはキツいですが、たくましい大胸筋を手に入れたい人は、ぜひ週に2~3回行ってみてください。