2019.2.19
1 スキルは一点集中ではなく分散すべき理由
自分の周りに仕事ができると思える人はいますか。もしそのように認識する人がいるのであれば、自分には無い何かをその人にはあると感じていることでしょう。そこでこのように考えることはないでしょうか。
「自分も何か秀でたスキルを修得したい」と。
しかし最初にどのようなスキルや能力を身に付けようかと考えて実行しても、なかなかうまくいかないのではないでしょうか。その理由は、スキル磨きはトップダウン(最初に目標を立てて講習を受けたり本を読んだりすること)ではなく、ボトムアップ(実務で必要となる能力を身に付けていくこと)でなければ役に立ちにくいからです。
また最初に修得しようと考えたスキルは、今後も役に立つのかどうかはわかりません。たとえば資格検定で人気の高い簿記は、その知識そのものは大いに役に立ちますが、資格が今後も必要とされるかどうかは不明です。
簿記の資格を取得すれば、会計士や税理士として独立することも可能です。しかし、それらの仕事は今後、AIによって縮小するという報道もあります(2017年9月17日の日経新聞より)。
そこでスキルや技能の修得をする場合には、ひとつを極めるよりも複数を身に付けるという方法をおすすめします。
2 複数のスキルを組み合わせることで特別な存在に
複数のスキルを修得すれば、それを組み合わせることで自分だけの優位性というものを確立できます。
たとえば簿記の知識を得ると同時に課題解決スキルを修得すれば、M&Aや事業承継に関する財務・会計コンサルタントとしての仕事などを手掛けることができるでしょう。少子高齢化の中で、多くのオーナー社長は事業の継続に関して悩んでいます。さらにネゴシエーション(交渉)スキルや語学力も備えれば、国際化へも対応できます。
必要なスキルを次々と加えることで、あらたな活躍のステージに進むことも可能です。このように複数のスキルを修得していけば、時代の変化に対応してキャリアアップをすすめることもできます。
3 スキル磨きはまず身近な問題解決を題材に
理屈はわかったけれども、実際にどのようにそのスキルや技能を修得すればよいのかという疑問を持たれることでしょう。そこで具体的なスキル修得の方法を説明します。
できるビジネスパーソンの能力とは、集約すれば課題や問題を的確に解決することです。もちろんそのためには細かなスキルの組み合わせと膨大な知識、さらに経験が必要です。しかしそれらは徐々に積み上げていくものであり、遡っていくと最初は自分の小さな問題を解決するスキルに行き着くものです。
つまりスキル磨きのスタート地点は、自分が抱える問題を解決する能力を高めることにあります。たとえば作業量が多くて時間が足りないのであれば、作業手順を減らしつつ品質も高めるための知識を求めればよいでしょう。そして実践することでスキルが備わります。人間関係に悩んでいるのであれば、その根源は何か、自分で何をコントロールできるのかを調べればよいでしょう。
自身の問題解決スキルを修得したら、次にそのスキルを周囲の人のために使うことをおすすめします。自分が悩んでいることは、おそらくほかの人も同じように悩んでいるからです。仕事がスムーズに連携せず進まない時は、誰かが何かしらの課題や問題を抱えている可能性があります。それを見つけ出して手助けするのです。
このように外部に目を向けると、潜在的な課題や問題を見つけ出すスキルが高まります。その結果、あらたな問題を解決するために修得すべきスキルや能力があることに気づきます。そのように複数のスキルを修得したならば、それを組み合わせて何ができるかも考えてみてください。すると自分が活躍すべきあらたなステージが見つかるでしょう。
また外部に目を向けて潜在的な課題や問題を探していると、次第に会社全体が抱える課題に行き着きます。その先には変化を続ける社会で生じる課題がありますし、そこで求められるスキルが何であるかがわかります。
まとめ
スキルを磨くためには、最初に何を極めようかと考えるよりも、まずは身近な問題を解決するスキルを修得することが大事です。さらにそこから周囲の課題や問題を解決することで、やがて変化を続ける社会の課題に行き着きます。その過程で備わった複数のスキルを組み合わせると何ができるのかがわかりますし、自然と自分が活躍できるステージに導かれると思います。