2019.2.6
エシカルとは? なぜ今エシカルなのか
「エシカル(ethical)」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。言葉通りに訳せば「倫理的な」という意味で、善悪や正義などに関する基準や規範に則しているかどうかを表します。近年、このエシカルが環境保全や地域・社会への考慮といった観点から、日本でも重視されるようになってきました。
一般社団法人エシカル協会代表理事の末吉里花氏がわかりやすく説明するところでは、エシカルとは「エいきょうをシっかりとカんがえル」ということ。特に日常の消費活動に注目した「エシカル消費」市場は、世界規模で拡大しています。
なぜ今、エシカルなのか̶̶。それは、貧困・人権・気候変動を解決していかなければ、地球が私たち人間の暮らせる場所ではなくなってしまうから。貧困は人間の命や健康を脅かし、人権問題は民族や宗教の対立、戦争につながりかねません。気候変動は異常気象を発生させるとともに現在の生態系を含む環境を変化させ、住環境や食料に大きな影響を与えます。これらの問題を解決していくために、私たち自らが行動を起こしていかなければなりません。
エシカル消費は、そうした世界の緊急課題を解決していくひとつの有効な行動指針です。世界のリーダー、投資家、経営者を含む私たち全員が、日々何らかの消費を行っています。その中で、製品の背景を知らずに消費することも多いのが現状。その消費が人権侵害や環境破壊に間接的に加担しているかもしれません。しかし、エシカル消費を意識して商品を選択することで、問題のある商品や製造工程にNO と言えるようになるのです。
エシカル消費という考え方
エシカル消費は、「『人と社会、地球環境、地域のことを考慮して作られたモノ』を購入・消費する」(一般社団法人エシカル協会)こと。買い物という身近な行動を通じて、世界の緊急問題の解決に貢献することができます。それには、以下の6 つのポイントが役立つでしょう。
・労働搾取や児童労働によって作られた商品を買わない
・助けを必要とする人々を支援できるような商品を選ぶ
・地域社会や地域経済を損なう企業の商品を買わない
・地域社会や地域経済を助ける商品を選ぶ
・自然環境を破壊する商品を買わない
・自然環境を改善する活動によって作られた商品を選ぶ
・助けを必要とする人々を支援できるような商品を選ぶ
・地域社会や地域経済を損なう企業の商品を買わない
・地域社会や地域経済を助ける商品を選ぶ
・自然環境を破壊する商品を買わない
・自然環境を改善する活動によって作られた商品を選ぶ
つまり、生産者の搾取を助長しない商品を選び、環境負荷のより低い商品を選ぶということです。
他には、特にファッション分野において「エシカルファッション」という概念があります。エシカルファッションの観点から消費を考えると、
・オーガニックコットンや天然染料を用いてつくられたテキスタイルを利用する、食肉の副産物である皮革を利用した商品を選ぶ
・大量消費・廃棄につながるファストファッションよりも定番アイテム・デザインの商品を選ぶ
・フェアトレードに配慮する、環境負荷のより低い製造工程で作られた商品を選ぶ
・大量消費・廃棄につながるファストファッションよりも定番アイテム・デザインの商品を選ぶ
・フェアトレードに配慮する、環境負荷のより低い製造工程で作られた商品を選ぶ
などが可能です。
いつものお昼ご飯や夕飯の食材をどこで買うか、新しい服をどの会社の商品にするか̶̶あなたの商品選びが、世界を変えていくのです。
社会的責任投資(SRI)、エシカル金融とは? 投資や銀行選び もエシカルに
エシカル消費の中で、投資分野の代表例は「社会的責任投資(SRI)」や「エシカル金融」です。
大和総研グループによれば、SRI とは「企業を評価する際に環境問題への対応や社会的な課題への取り組みなどの非財務情報を考慮した投資」のこと。投資家自らが、世界の課題に背を向けている企業を投資対象から除外したり、課題解決に積極的に取り組む企業に投資したりする方法です。
一方、エシカル金融は銀行選びに関わります。具体的には、石炭の関連事業に融資している銀行から、そうでない銀行に預金を移したり、環境問題に積極的に取り組む銀行に口座を開いたりするという考え方。一口にエシカルと言っても様々な観点から銀行を評価できるため、Fair Finance Guide Japan が発表する調査結果を見ながら、社会的責任を果たしていると思われる銀行を選ぶとよいでしょう。
エシカル消費は、この地球で人間が持続可能な社会を築き、豊かに暮らしていくには不可欠な考え方。日本でも2020 年の東京オリンピックに向け、エシカル消費を意識した取り組みが始まっています。
【参考】
一般社団法人エシカル協会 公式サイト、https://ethicaljapan.org/why-ethical
大和総研グループ「社会的責任投資(SRI)を学ぶ ̶「持続可能な社会」に向けて̶ 」、
https://www.dir.co.jp/report/research/introduction/financial/esg-sri/index.html
Fair Finance Guide Japan 公式サイト、 https://fairfinance.jp/
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「持続可能性に配慮した運営
計画」、 https://tokyo2020.org/jp/games/sustainability/sus-plan/