衣食住のプロフェッショナルである加藤ゑみ子著『無駄なく、豊かに、美しく生きる30のこと』 より、日々の生活や人生をすっきり無駄なく過ごしていくための心構えをご紹介します。
聡明さとは注意力に直結している
衣装に関する不注意によるロスといえば、最も頻度が高いのが、汚してしまったり、どこかに引っかけてしまって、しなくてもいいメンテナンスが必要になってしまうことでしょう。
<16ページより引用>
住まいの空間設計やデザインに、長年関わってきた著者。本著では、幸福のベースとなる生活のさまざまについて語っています。
衣食住という日々の生活を「無駄なく・豊かに・美しく」生きるということは確かに究極の理想ではありますが、良い状態を保ち続けていくことはなかなか困難です。
しかし、ちょっとした心がけと注意があれば、意外と簡単にできることもありそう。本著は、30の章で構成されていて、それぞれ衣装編・料理編・住まい編に分けて解説されています。
その中に、「不注意から起きる無駄をなくす」という章があります。
衣装については、そもそも汚さない工夫が大事。よくあるのが、着慣れないものを着ているときに限って、食事中にこぼしてしまうこと。衣装は、場慣れと着慣れを常日頃心がけておく、予防の観点について著者は教えています。
料理編についても同様の考え方で、火加減や包丁での事故など、気が散漫になっているときに事故は起きがち。
聡明さとは、注意力に優れていて、不注意の仕組みを理解していることであるといえるようです。
自分の定番を持つ
食器はこれ、衣装はこれ、バカンスはここと、生活のすべてに自分の「定番」を持ち、それに納得して、心を煩わせないでいられるとしたら、心穏やかに安心していられることでしょう。自分なりの「定番」を持つことは、無駄をなくすのにとても大事な方法です。
<38ページより引用>
定番を持つということは、自分の個性を縛ってしまうことになり、自由度が低くなるような印象を受けます。だからこそ、定番を持つということは、勇気がいることであると著者はいいます。
今の自分に対して正しい理解があり、納得が必要になってくるからです。
著者曰く、一生のうちに環境や境遇、ライフステージが変わる時期が来たときに、今の定番を見直して、新しい定番にシフトしていくことが大事なようです。
たしかに、仕事や住まいが変われば、必要なものや似合うものはがらりと変わるものです。
生き方が変われば、定番が変わるということは理解できるところですが、今の自分の定番が世界のすべてであると勘違いしないことも重要なようです。
自分の定番以外にある、世の中のいろいろなアイテムの存在を知っておくこと。それは、次の転換期に、新たな定番を定める際に役立つことでしょう。
たとえば、自分の衣装や色の定番を持っておくと、選ぶときに時間の短縮にもつながりますが、それは料理についても同様で、家庭料理を定番化しておくと、いざという時に自分を助けてくれるといいます。
とてもロジカルで合理的な考え方であるといえるでしょう。
情報を正しく選び取る
情報が溢れている時代だからこそ、正しく選んでいくことが大事だと著者はいいます。
多くを知ることは良いことですが、その中から有効なことを選び出していくためには、自分に必要な情報のテーマを持っておくことが必要になってきます。
テーマに基づいた関心があれば、情報が自分から飛び込んでくる。「無駄なく・豊かに・美しく」生きるということは、自分という軸を定期的にアップデートしながら、しっかりと持っていくこと。
この年の瀬は、ちょうどそのタイミングにぴったりなのかもしれません。
タイトル:無駄なく、豊かに、美しく生きる30のこと
著者:加藤ゑみ子
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
定価:1836円(税込)