押さえておきたい、2017年の「お金」の重要キーワード

「額歴」がぐんぐん上がる経済ホットレ
今日は、あえて鬼に笑われたいと思います。では、何をして鬼に笑われるのか? それは、来年のお金についての重要キーワードを厳選して皆さんにお伝えすることです。来年は皆さんのお金が増え夢叶う一年になりますように。
2016.12.25

12月初旬の週末に近所を家族で散歩をしていたら、なんとも大きな「町内餅つき大会」という垂れ幕が掛かっており、そこからもち米を炊く湯気がモウモウ、もうもうと立ち上がっていました。私たち家族は、なんとなく招かれたような気がしてふらっと顔を出してみました。残念ながら餅つき自体は終わっていたため参加できませんでしたが、少し、残念そうな顔をしていると、そこに参加していた地元の方から「来年は参加してね。朝から来てくれれば餅つきができるよ」と湯気を上回る熱いお誘いが。さらに加えて一言。「来年のことをいうと鬼に笑われるけど…うふふ」と言って奥に入っていきました。みなさん「うふふですよ」。なんとも記憶に残る餅つき大会になりました。参加していませんが。

ということで、今日は、あえて鬼に笑われたいと思います。では、何をして鬼に笑われるのか?それは、来年の重要キーワードを皆さんにお伝えすることです。ここでお伝えする重要なキーワードは、皆さんに最低限注目して欲しいテーマに生活に厳選しています。

1. 物価(消費者物価)

なにを今さら、と思うかもしれません。では、言い方を替えてみますね。「2017年は世界的にインフレになる可能性がある年です。」と聞くとどうでしょうか。少し興味を持っていただけたのではないでしょうか。
実は、2009年以降、今の今まで世界の多くの国はデフレ懸念との戦いを繰り広げていました。その戦いの中心にいた戦士は、黒田総裁、イエレン議長、ドラギ総裁です。そうです。中央銀行のトップ達です。2017年は、この3人の物価に対する意識がデフレからインフレに変わり始めるかもしれません。
そのキッカケはいくつかありますが、その中の一つにアメリカの次期大統領トランプ氏による積極的な公共投資と財政出動があります。世界の超大国が積極策に出ることで物価が上昇するかもしれません。今でのデフレ懸念から次の一手が打てなかった3人の中央銀行のトップたちはついにデフレファイターからインフレファイター(戦士)に変わる可能性が出てきました。緩やかなインフレは経済を成長させますが、急激なインフレは経済に悪影響を与えます。どの程度の物価上昇になるのか注目して欲しいと思います。
ちなみにインフレ傾向になると、何が起こるのでしょうか。電気代が高くなり、ワインやチーズの輸入品が高くなり、住宅ローンの金利が高くなり、不動産の価格が高くなり、株価が高くなり、円が安くなるなど色々な変化をもたらします。私たちの生活にも大きな変化をもたらします。それだけではありません。インフレにより経済環境が大きく変わることがあります。その結果、不景気への入り口になることがあります。世界の物価に関する記事には確実に目を通していきましょう。

2. 米国:本国投資法(HIA)

来年はこのキーワードを聞く機会が多くなるかもしれません。これはブッシュ大統領が2005年に行なった時限的なルールでしたが、2017年に再び導入が検討されています。
このHIAを簡単に説明すると、米国企業が外国で得た利益をそのまま現地に貯め込んでいたとします。そのお金を後ほど米国で使いたくなって外国から米国へ送金すると、なんと!35%もの税金を取られてしまします。でも、HIAが導入されると米国に送金をして設備投資や人を雇うことにお金を使う場合は、特別に税金を5%まで減らというものです。30%も税金が違えば、国にお金を戻す企業が増えるのは当然ですね。
この政策で一説によると数十兆円程度のお金が還流するかもといわれています。2017年は、米国企業が海外で得た利益を還流させることで、米国では雇用や設備投資が進み思わぬ好景気になるかもしれません。しかし、この影響により資金が米国へ流出した諸外国は不景気になるかもしれません。お金が流出すると国の経済には悪影響を与えます。ここがすごく大事なポイントです。HIA法案に注目しましょう。

3. 中国の景気

では、資金の流出が一番大きそうな国はどこでしょうか。私は中国であるような気がしてなりません。そもそも中国経済はここ数年、黄色信号が点滅しています。以前は7〜8%もの高成長を維持していましたが、いまや6%台を維持するのがやっとな状態です。異常な土地価格の高騰、明らかに過剰な債務など、そもそも海外からの中国への投資熱は冷めつつあります。それに加えて、人民元が安くなっていることが大変気になります。リーマンショックの水準を下回る人民元安です。トランプ大統領の就任前に人民元を安くして、輸出業が有利になるように試みているかもしれませんが、通貨の価値が安くなるとその国からお金は流出することが原理原則です。
HIAと加えて人民元安は、中国からの資金流出を示唆しており、来年の一番の注目は中国になるかもしれません。

中国から資金が流出すると何がおこるかというと、土地の値段が下がり、失業者が増え、中国内の景気が悪くなり、政治が不安定になり、中国経済の影響を受けやすい欧州、日本が不景気になる。こんなマイナスのスパイラルに入る可能性もあります。このように、ここ数年ずっと言われ続けてきたチャイナリスクが実現する可能性が、中国内部の問題だけではなくトランプ次期大統領によりもたらされる可能性がありそうです。

来年、私は楽しく気分で餅つきに参加したいと思います。そのためには、中国経済とHIAに注目して2017年を過ごしたいとおもいます。みなさんもご一緒にいかがでしょうか?うふふ。

渋谷 豊

ファイナンシャルアカデミーグループ総合研究所(FAG総研) 代表

シティバンク、ソシエテ・ジェネラルのプライベートバンク部門で約13年に渡り富裕層向けサービスを経験し、独立系の資産運用会社で約2年間、資産運用業務に携わる。現在は、ファイナンシャルアカデミーで執行役員を務める傍ら、富裕層向けサービスと海外勤務の経験などを活かし、グルーバル経済に関する分析・情報の発信や様々なコンサルティング・アドバイスを行っている。慶応義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。
ファイナンシャルアカデミーグループ総合研究所 http://fagri.jp/
ファイナンシャルアカデミー http://www.f-academy.jp/

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