2018.10.29
なぜ今「働き方」を考える必要があるのか
日本では未だに多く企業が日本型雇用モデルを前提に長く働いてくれる優秀な人材を探している傾向が見受けられます。しかし、更なるテクノロジーの変化、グローバル化の促進、少子高齢化の加速などめまぐるしく社会構造が時間とともにこれまでにないスピードで変化していく中では、大学を卒業後企業に就職しそこで定年を迎えるという従来の雇用モデルを前提とした考え方は通用しない世の中になることが予測されます。
実際に世界ではずいぶん前から終身雇用のモデルが崩壊を始め、多様な働き方が主流となっていることを考えると、日本でもそう遠くない未来にこれまでのように有名企業に入社したら安定という時代は終わりを迎えるでしょう。今、来る時代に備えて私たちは個人として主体的にこれからの働き方を考える必要性に迫られているのです。
これからの日本における働き方とは
次に具体的にこれから日本での働き方がどのように変わっていくのか見ていきましょう。厚生労働省が2016年に発表した報告書「働き方の未来2035年」でそれについて予測しています。この報告書は7章に分けて構成されており、第3章では17年後の未来の日本においての働き方についてまとめています。
その中でも注目すべきは、「テクノロジーの更なる発展により人間が時間、空間また情報共有に制限されることがなくなる」という点。つまり、今後はこれまでのように決まった場所で働くのではなく、いつでもどこでも仕事ができるようになるということ。
また報告書では、その変化にともない人々の会社への帰属意識を保つことが難しくなり、企業は従来のようなコミュニティとしての機能を果たせなくなってくるとしています。結果、将来的に企業は「ミッションや目的が明確なプロジェクトの塊」となり、多くの人が会社に所属するのではなくプロジェクトによって所属する会社を変えていくことになるでしょう。
それは正社員雇用制度の崩壊を意味し、これまで当たり前だと思われていた一生同じ会社で同じ仕事をするという時代は終わり誰もが何らかの形でキャリアチェンジしていく世の中がやってくることを意味します。
私たちが目指すべきもの
遠くない未来に起こる労働状況の変化に向けて私たちはこれからどのようにキャリアを構築していくべきなのでしょうか。ロンドン・ビジネススクール教授で「ワーク・シフト」「ライフ・シフト」の著者として知られるリンダ・グラットンの考えを参照に考えてみましょう。
彼女はベストセラーとなった著書である「ワーク・シフト」の中で「連続スペシャリスト」という新しいキャリアの考え方を提唱しています。彼女の言う「連続スペシャリスト」とは社会的に必要とされる高い専門知識と技能を持ち、それを実際のビジネスで発揮するパフォーマンスを繰り返すキャリアのこと。