2018年4月5日 更新

マーブルクレイフィッシュ研究が人類を救うかも?基礎研究は未来への投資

変化の激しい現代社会では、すぐに役立つスキルやライフスタイルが好まれがち。しかし、時にはじっくり腰を据えて取り組むことが未来への大きな投資になることも。2018年2月に大きな衝撃をもたらしたあるザリガニ研究は、いずれ人類を悩ますがんの対策に貢献するかもしれません。

boiled crawfish and beer on...

boiled crawfish and beer on a wooden background

2018.4.5

マーブルクレイフィッシュの出現と研究の開始

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2018年2月5日、『ネイチャー エコロジー・アンド・エヴォリューション』に衝撃的な論文が掲
載されました。アメリカザリガニの一種であるマーブルクレイフィッシュがもともと1つの個体
を起源にもつ単一のクローンだと示唆されたのです。日本では「ミステリークレイフィッシュ」
の名で知られています。
大理石のような模様が特徴のマーブルクレイフィッシュ。最初に取引されたのは1995年で、アメ
リカのフロリダ州で捕獲されたものだと言われています。これが交尾相手なしで繁殖することが
判明し、愛好家の間でペットとして急速に増えていきました。この取引の時点ではまだ分類不明
のザリガニで、学術的な報告もありません。学術的報告がなされたのは、最初の取引から8年後
となる2003年の『ネイチャー』に掲載された、シュルツらによる短報でした。
研究は続けられ、最初の取引から23年経った2018年、マーブルクレイフィッシュが単為生殖で
クローンをつくって増えているらしいと発表されたのです。
マーブルクレイフィッシュを発見し、その特異性を認識し始めたのは市井の人々。それを引き継
ぎ、目の前で起こっている奇妙な現象を詳しく調べ始めたのが、この基礎研究の始まりでした。

マーブルクレイフィッシュで起こっている珍しい現象

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ザリガニは、甲殻類のうち軟甲綱の十脚目に分類されるエビやカニの仲間です。軟甲綱では性転
換する種や、卵巣と精巣を同時に持つタイプの雌雄同体の種が知られていましたが、基本的に他
の個体と交尾して繁殖する他家受精を行います。ところが、マーブルクレイフィッシュは単為生
殖で増え、生まれるのはメスばかり。もともとは交尾で増えるはずであったのに、メス1 匹で大
繁殖してしまいます。十脚目で初めての現象です。
2017年時点で、スロウザリガニの突然変異体であるという見方が主流となっていました。しか
し、マーブルクレイフィッシュとスロウザリガニで生殖できないことから、マーブルクレイフィ
ッシュを新種として認める専門家も多くなっています。2018年の論文では、マーブルクレイフィ
ッシュが3組の染色体を持つ3倍体であることも報告されており、著者の1人であるフランク・
リコは、「きわめて短い期間で進化的な事象が発生した」「大変珍しい現象」と述べました。

研究によってわかったプラス面とマイナス面

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マーブルクレイフィッシュは、日本でもペットとして人気があります。単為生殖するという珍しさや様々な環境で生存可能で雑食であるという飼いやすさが特徴。しかし、マーブルクレイフィッシュの研究が明らかにしたのは、そうした物珍しさだけではありません。
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