2018年11月23日 更新

独立性堅守のFRBプライド

2018年11月15日にFRB米連邦準備理事会は、2019年6月に専門家会合を開き金融政策の枠組みを再点検すると発表され、その前後にはFRB当局者から景気見通しに対して慎重な発言が続いたか事からドル高のトレンドに変化の兆しが見えました。今回は、FRBのプライドから2019年の見通しをみていきたいと思います。

そこで、この悩ましい状況を打破するために開かれるのが専門家会合というわけです。パウエル議長は、この会合の開催の発表時に「雇用の最大化と物価の安定という議会に与えられた使命を果たす」と明確にコメントしています。これは、FRBのミッションを改めて示したものです。しかし、このコメントが、利上げ政策の停止を意図しているのか、それとも引き締め政策の継続を意図しているかの判断材料にはなりません。
しかし、もし、たぶん、ですが、2019年に世界経済が緩やかに減速するという見通しがFRB当局者の共通認識であるとすれば、「専門者会合を通じて利上げのスピードを緩めるという判断を下したい」と考えているのではないかと思っています。これは、利上げ余地なく景気の腰折れを誘発したくないので利上げを停止したいけど、世間から、この決定がトランプ大統領の要請に屈した決定と見られたくないというFRBプライドではないでしょうか。
そのため、この利上げを停止の決定は、専門家会合の決定を踏まえたもので、引き続きFRBは独立性を保っているということを世界に対して発信する可能性が高いと思っています。あるドラマ風に表現すれば、「独立性品質のFRBプライド」ですね。来年もFRBから目が離せません。
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渋谷 豊 渋谷 豊
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