そこで、この悩ましい状況を打破するために開かれるのが専門家会合というわけです。パウエル議長は、この会合の開催の発表時に「雇用の最大化と物価の安定という議会に与えられた使命を果たす」と明確にコメントしています。これは、FRBのミッションを改めて示したものです。しかし、このコメントが、利上げ政策の停止を意図しているのか、それとも引き締め政策の継続を意図しているかの判断材料にはなりません。
しかし、もし、たぶん、ですが、2019年に世界経済が緩やかに減速するという見通しがFRB当局者の共通認識であるとすれば、「専門者会合を通じて利上げのスピードを緩めるという判断を下したい」と考えているのではないかと思っています。これは、利上げ余地なく景気の腰折れを誘発したくないので利上げを停止したいけど、世間から、この決定がトランプ大統領の要請に屈した決定と見られたくないというFRBプライドではないでしょうか。
そのため、この利上げを停止の決定は、専門家会合の決定を踏まえたもので、引き続きFRBは独立性を保っているということを世界に対して発信する可能性が高いと思っています。あるドラマ風に表現すれば、「独立性品質のFRBプライド」ですね。来年もFRBから目が離せません。
米国中間選挙が接戦になっている本当の理由とは

米国の中間選挙は現地時間の11月6日に投開票が行われます。9月上旬までの各紙の予想では、下院については民主党が圧勝するという報道がほとんどでした。しかし、開票直前になって下院が大接戦になっていると報じられています。さぁ、結果はどうなるのでしょうか。2016年の大統領選挙でのサプライズは記憶に新しいところです。今回は、経済を切り口にして接戦の理由を分析し実際に経済問題が選挙の争点になるのかどうかを見ていきたいと思います。
渋谷 豊

ファイナンシャルアカデミー総研代表 、ファイナンシャルアカデミー取締役
ファイナンシャルアカデミーグループ総研 http://fagri.jp/
ファイナンシャルアカデミー http://www.f-academy.jp/