2018年12月7日 更新

米国の景気の先行指標はどう動いているのか

米国の景気を見るときに、住宅関連の指標は先行指標となりえます。全米不動産協会が11月21日に発表した10月の中古住宅販売件数は年率換算で522万戸となり、前月比で1.4%の増加(7か月ぶりの増加)になりました。

gettyimages (26491)

2018.12.7

米国の景気の先行指標はどう動いているのか

gettyimages (26498)

米国の景気を見るときに、住宅関連の指標は先行指標となりえます。
全米不動産協会が11月21日に発表した10月の中古住宅販売件数は年率換算で522万戸となり、前月比で1.4%の増加(7カ月ぶりの増加)になりました。
しかし、前年同月比では5.1%の減少となっており、前月比と前年同月比の両面から判断すれば、住宅市場のトレンドはすでに2017年初め~2018年春頃に天井を付けて、現在は天井からの下落が始まったばかりであると見ることができます。
ただし、米長期金利が3.2%台から3.0%前後まで下落しているので、このまま3.0%程度でもみ合いが続くようであれば、今後の数カ月は販売が上向く可能性がないというわけではありません。
中古住宅販売件数は2005年9月に725万戸を記録した後、2006年に減少が始まり、2007年には急減していった過去があるのですが、目下のところは2017年11月に581万戸とピークを打って、2018年に減少、2019年にも急減はなくても減少傾向は続く可能性が高いでしょう。
gettyimages (26502)

私は住宅取引の9割を占める中古住宅販売件数が米国経済を1年~2年先取りする指標として重視するべきであると考えておりますが、その他の指標でも市場の減速傾向は表れ始めてきています。
米商務省が11月20日に発表した10月の住宅着工件数は122.8万件と前月比で1.5%増となりましたが、天井だった2018年1月の133.4万件から8%程度少ない水準に落ち込んでいます。全米住宅建設業協会が11月19日に発表した11月の住宅市場指数は60と、2年3カ月ぶりの水準に低下しています。
米国の住宅市場では、指標の弱含みは一時的なもので2019年には再び上向くという見解が未だに多いものの、ようやくここ1~2カ月で、ピークを打ったと考える冷静な見方が拮抗してきているようです。その理由は、販売現場での客足が著しく減ってきているという現実が反映しているからです。
いずれにしても、住宅ローン金利の上昇と住宅価格の高騰が二重で市場の重荷となり続け、住宅販売はさらに減少する傾向が続くだろうと見ています。2019年は減速を警戒する年となるでしょう。
最後に、新刊『AI×人口減少 ~これから日本で何が起こるのか』においては、これからの10年~20年を見据えて、私たちの仕事、収入、社会がどのように変化していくか、実証的なデータをもとに解説しています。ご覧いただければ幸いです。
18 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

欧州経済の「日本化」が進んでいる?今後最も避けたい3つの恐怖

欧州経済の「日本化」が進んでいる?今後最も避けたい3つの恐怖

9月12日に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が発表した総合的な金融緩和策では、欧州の低成長と低インフレの長期化を阻止するのに不十分であると市場の評価は冷ややかです。いかなる金融政策を講じても経済回復に至らない「低成長」「低インフレ」「デフレスパイラル」という日本化が本当に欧州圏で進んでいるのでしょうか。
今年の秋は10月からスタートする米国企業の業績発表に注目

今年の秋は10月からスタートする米国企業の業績発表に注目

最近では、トランプ大統領の中央銀行への圧力や世界的に広がる貿易戦争などのトピックスに対して反応が鈍くなっているように感じます。一方で、景気の弱さと企業業績の不透明感が徐々に台頭していることについてはニュースとしてあまり取り上げられてないので知られていません。
ウェルネスブームが世界中で止まらない!4兆ドルの経済効果と背景

ウェルネスブームが世界中で止まらない!4兆ドルの経済効果と背景

マインドフルネスをはじめとした、ウェルネス(健康を維持、増進させようとする生活活動)に興味を持つ人が増えつつあります。ウェルネスツーリズム、アプリなど新たな商品が出回り、今やウェルネス産業の市場規模は4.2兆ドル以上。このブームの実態や背景、昨今のトレンドについて解説します。
経済 |
米中貿易摩擦は来年まで引っ張れば、中国のほうが有利になる

米中貿易摩擦は来年まで引っ張れば、中国のほうが有利になる

アメリカ大統領選の歴史を振り返ってみると、勝利の方程式はやはり経済が好調であるということです。2020年11月の大統領選までのスケジュールから判断すれば、トランプ大統領は遅くとも直前の2020年7-9月期のGDP(速報値は10月末頃の発表予定)で3.0%以上の成長を達成し、経済が好調であることをアピールしたいところです。そこから逆算すると、6月がタイムリミットになります。
金融界で注目!SDGsのための「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」とは

金融界で注目!SDGsのための「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」とは

「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」は国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」を達成するための投融資で、第1号は日本で行われました。金融企業もファイナンスを受ける企業もイメージアップし、中・長期的な企業価値の向上につながるといわれています。
経済 |

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

STAGE編集部 STAGE編集部