2017年12月20日 更新

〈大谷真樹〉ベンチャー経営者から大学学長へと転身「ビジネス人材の育成で地域社会に貢献したい」

ベンチャー経営者から大学学長へと転身「ビジネス人材の育成で地域社会に貢献したい」 サラリーマンを経てインターネット調査会社を起業。その会社を成長させてヤフーに売却するというサクセスストーリーを歩んだ大谷さん。現在はビジネスの現場から一転し、大学の学長として奮闘されています。大谷さんに、学長になった狙いやお金についての考え方をお聞きしました。 サラリーマンを経てインターネット調査会社を起業。その会社を成長させてヤフーに売却するというサクセスストーリーを歩んだ大谷さん。現在はビジネスの現場から一転し、大学の学長として奮闘されています。大谷さんに、学長になった狙いやお金についての考え方をお聞きしました。

2015.3.28

八戸のポテンシャルに魅力を感じ、学校教育に挑戦

神原
大谷さんはサラリーマン、ベンチャー起業家、そして現在は大学の学長と、さまざまなステージでご活躍されてきました。私の会社の顧問を務めていただいたこともあります。
ビジネスから教育の現場に転身されたのはどういった理由からですか?

大谷
かつて、「金を残すは下、事業を残すは中、人を残すは上」と経営の心得を説いた人がいたそうです。私が大学の学長になったのも、人材を育てて残すことが一番の社会貢献になると思ったからです。
以前、自分の経営する会社の事業所を八戸に開設したことをきっかけに、産学連携に関わりました。
そこで気づいたのは、ビジネスアイデアがあっても一歩踏み出せない人がたくさんいるということ。だから私がその背中を押してあげたい。
自分1人では1つのビジネスしか実現できなくても、10人いれば10のビジネスを創出できることになります。
ビジネスを創出してお金を儲けてもらって、たくさん納税したり、たくさん人を雇ってもらう。納税と雇用は最大の社会貢献・地域貢献であり、それに直結できるのが人材育成です。
ちょうど会社を売却して一息ついていたこともあり、次へのモチベーションとして、社会貢献につながる大学の運営は最適だったのです。

神原
大谷さんは八戸のご出身ですから、故郷を活性化したいという思いもあったのでしょうか。

大谷
それはありません。事業所設立のために全国のさまざまな候補地を見て回った時、八戸の人材や産業インフラのポテンシャルの高さを知り、「これは伸びしろがある」と改めて発見したからです。

神原
伸びしろとは具体的にどのようなことでしょうか?

大谷
まず真面目な人材がいること。真面目だからアドバイスを素直に聞いて、どんどん成長してくれます。
それに環境がよいこと。インターネットの発達によって地域による情報格差がなくなり、例えばアプリケーションの開発のような仕事なら、地方にいてもできます。
だとすれば、自然環境に恵まれている地方の方が、ワークライフバランスを実践しながら伸び伸びと仕事ができる。その最有力候補が、八戸だったというわけです。
八戸には海があり、山があり、湖があります。自然だけでなく、高速道路も整備され、三沢空港も近いし、新幹線も開通した。
八戸がもしフランスにあったら第9位の規模の都市ですよ。こんなに自然にも産業インフラにも恵まれた都市は世界でもなかなかない。大いに発展する可能性を持っていると思います。

神原
大学ではどんなことに取り組まれていますか?

大谷
第二の建学と考え、改革に取り組んでいます。
日本が高度成長していた時代は、誰が学校法人を運営してもうまくいきました。でも今は違います。
1992年の大学生世代の数を100とすると、2030年には半減が予測されています。企業なら売り上げが半分に縮小する危機であり、経営的にやり直すしかありません。
ただ大学というのは特殊な世界で、企業経営では当たり前のことでも、できていないことがいっぱいあります。コスト削減もそうだし、マーケティング的な活動も。さまざまなことに一つひとつ手を付けている最中です。

多彩なアイデアで、お金を使わずに話題づくり

神原
今年3月にはデジタルハリウッド大学との提携を発表されました。学生を集める戦略の一つでしょうか。

大谷
中期的な狙いは、アジアから八戸に留学生を連れてくることです。アジアでブランド力があるデジタルハリウッド大学の授業を、八戸大学にいながらeラーニングとして受けられるようにします。
ターゲットは香港などのお金持ちのご子息。香港から三沢空港までは、羽田経由で5、6時間と近い距離です。そして八戸には、南国の彼らにとって魅力的な雪がある。
土地としての魅力、コンテンツとしての魅力を活かし、費用をあまりかけずに学生を集めようというわけです。

神原
そういった発想はやはり経営者ならではですね。

大谷
昔からお金をかけずにPRする方法を考えるのが得意でした。
インターネット調査会社を始めた時、宣伝費用はないけれど、どうにかしてインターネット調査というものを広く認知させたいと考えました。
そこで複数の会社とともに業界団体を設立し、その団体から調査レポートを発行することにしました。
メディアは、ベンチャー企業がニュースを発信しても取り上げてくれませんが、業界団体として発信すれば取り上げてくれると考えたからです。実際にその作戦は当たり、たくさんのメディアに取り上げられました。

神原
八戸大学の学長としてはどんなPRをしていますか?

大谷
いつもラフな格好をして、「八戸大学のジーパン学長です」と言って歩いています。本当は恥ずかしいのですが、自分が広告塔になればと思ってのことです。
言い続けていたら、地元紙などではジーパン学長として認知されるようになりました。
全学生にFacebookをやらせていますし、自分自身も学長日記をFacebookでやっています。それらも宣伝費を使わない話題づくりの一つです。

失ってから始めてわかった。健康は未来への先行投資

神原
経営者も学長もお忙しいとは思いますが、お身体の方は大丈夫でしょうか?

大谷
これはぜひ語らせてほしい(笑)。
ベンチャー経営者をやって失ったものは健康で、得たものは体重でした。
社長を辞めた時、まず健康を取り戻すため、サーファーになろうと思いました。しかし太ったままではウェットスーツが似合わないので、その前にダイエットを始めました。自転車を買って走り始めたらこれにはまって、次第に体重も落ちて健康を取り戻すことができました。
今も健康には人一倍気を遣っています。夜8時以降は食事もお酒も飲みません。早寝早起きをして、毎朝ジョギングや自転車で鍛えています。学長室の椅子はバランスボールを使っています。

神原
健康に対する考え方が経営者時代とは大きく変わられたのですね。

大谷
自分の健康を犠牲にした生活を続ければ、ガンや生活習慣病などにかかりやすくなり、将来の医療費がかさみます。
スポーツジムに通ったり、競技用の自転車を買ったりするのにもお金がかかりますが、将来かかる医療コストを回避するための先行投資だと思っています。

八戸の暮らしで、自分の「価値観の物差し」が変わった

神原
お金についての考え方を教えてください。
経営者だった時と教育者になってから、お金の使い方など変わったことはありますか?

大谷
基本的には変わっていません。昔から機能だけを必要とするものにはお金を使わない主義です。
例えば、急いでいる時にお腹を満たすなら牛丼で済ますし、出張で使うホテルは4000円のビジネスホテルでも十分。
でも、ワインを飲みながら食事したいと思った時は5万円でも払う。旅行でリラックスしたい時には、星野リゾートの高級ホテルも利用します。
クルマは動けばいいので、安い中古車に乗っています。なかに積んでいる自転車の方が高いんですよ。

神原
徹底されているんですね。そのこだわりはいつ頃から持たれているのですか?

大谷
サラリーマン時代は時々の贅沢をする余裕もなかったですから……。経営者になってものの価値を知り、自分のなかで物差しを持つようになってからでしょうね。
最近少し変わったと思うのは、豊かさについての物差しです。
例えば私は毎朝、八戸の海沿いの道をジョギングしたり自転車で走ったりしていますが、その後で、汗を流すために400円の温泉に入ります。これが実にかけがえのない時間で、非常に豊かな暮らしをしていると実感できます。
八戸に来て、新たな豊かさの物差しを身につけることができたような気がします。

神原
投資については何かやっていることはありますか?

大谷
ほとんど何もやっていなかったのですが、経営者を辞めてから少しずつ始めました。
国内・海外、株式・債券の割合をざくっと決めて、投資信託を買ったら後は放置。たまに見てリバランスするくらいです。
ただ、普段の飲み食いのお小遣いはFXで稼いでいます。朝、指し値注文をして、夜寝る前に決済する。で、8千円とか1万円の利益が出て、それが月に十万円くらいになっています。数年間勝ち続けていますよ。

唯一の判断ミスは、8人家族のために湘南の自宅を購入したこと

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