2018.11.16
AIはデータに価値を与える分析手法のひとつ
データの重要性が高まっている時代、データに大きな価値があると考える人もいるのではないでしょうか。しかし、生のデータ自体には価値はありません。データに価値を与える「解釈」にこそ、本当の価値があります。
解釈とは、たとえばデータの分析をすること。データは分析を通してアルゴリズムやモデルの構築、意志決定や予測に活用されます。SAS InstituteのCOO兼CTOであるオリバー・シャーベンバーガーは、「アナリティクスの方法論のひとつがAI」と説明しました。AIシステムとはさまざまな分析の上に構築され、これまでの分析の延長線上にあるテクノロジーだからです。
ブラックボックスなAIアルゴリズムはもう古い
分析が重要な位置を占めるアナリティクス・エコノミーとなった現在、「アナリティクスの民主化」と「アナリティクスライフサイクル」の観点が鍵になるとシャーベンバーガーは指摘します。
アナリティクスの民主化とは「アナリティクスのプラットフォームに、誰もが容易にアクセスできること」。現在は統計学の知見とプログラム技術を有したエンジニアしかアクセスできませんが、今後はプログラミングの知識のない人であっても簡単に使えるシステムが必要だということです。
一方、アナリティクスライフサイクルとは、AIによってつくられたモデルを実際に使うだけでなく、その結果を踏まえてモデルの精度を高めていくサイクルのこと。そのためには、「つねにモニタリングし、リアルタイムのデータを入れながら、アップデート」していかなければなりません。
アナリティクスの民主化やアナリティクスライフサイクルを実現するには、AIの透明化が欠かせません。ある予測モデルがあったとき、「なぜそのようなモデルになるのか」「予測が間違った原因は何か」を説明する必要があるからです。IBM Researchも「信頼できるAI」のためには、AIの開発や導入、使用、利用法について概説した透明性のある文書を提供すべきだと訴えています。
これまでAIのアルゴリズムがブラックボックスで構わなかったのは、それが競争の優位性に寄与してきたから。しかし、今後はより多くのデータをより多くの人が扱う時代になるため、「なぜそうなるのか」を説明できることがより重要になります。ブラックボックスなAIアルゴリズムは、もう古いのです。