2019年8月22日 更新

世界のファッション業界が「アフリカ」に向かっている理由

世界のファッション界で「アフリカ」の存在感が増し、富裕層向けラグジュアリー・ファッションでもアフリカンテイストが浸透しています。アフリカ発の優れたデザインもさることながら、ファッションの巨大市場に成長する可能性も、その背景にあります。

ファッションでも近未来の巨大市場アフリカ

gettyimages (44967)

なぜ、ファッション界はアフリカへ向かうのでしょう? 「アフリカにはすばらしいセンスのファッションクリエーターがいる」「多様性(ダイバーシティ)の時代だから」だけではありません。アフリカは21世紀後半という近未来、ファッションでも巨大な消費市場に成長する可能性があるからです。
人口が減少していく日本やヨーロッパを尻目にアフリカ大陸では人口増加が続いていて、国連の予測によれば2050年には25億人に達し、世界人口の4分の1はアフリカ人で占められる計算です。若い世代が多いので「H&M」「ZARA」「ユニクロ」などファストファッションが売れる市場のように見えますが、高水準の経済成長に伴って個人所得ではトップレベルで、ラグジュアリー・ファッションのお客さんである富裕層も増えていきます。モーリシャスに本部があるアフラシア銀行のアフリカ経済のレポートによると、アフリカ大陸の富裕層(年間収入1億ドル以上)は2024年までに53%増加し、これはアジアの48%増、ヨーロッパやアメリカの25%増をしのぐペースです。
そんな動きを先取りしようと、ラグジュアリー・ブランドの「ルイ・ヴィトン」は2000年、「ディオール」は2004年にアフリカに初上陸しました。「グッチ」や「マイケル・コース」がそれに続き、ファストファッションのブランドよりも進出が早かったぐらいでした。進出の拠点は当初モロッコでしたが、アパルトヘイト政策が終わった地域大国の南アフリカのケープタウン、さらにはいま人口が2億人に迫る若き地域大国、ナイジェリアのラゴスが浮上しています。
現在は「ケープタウン・ファッションウィーク」と「ラゴス・ファッションウィーク」がアフリカのファッション界の二大イベントになっています。22世紀が始まる頃、ケープタウンとラゴスはファッション界でパリやミラノやニューヨークと肩を並べるような重要な都市になっているかもしれません。日本はその流れに乗れるでしょうか?

寺尾淳(Jun Terao)

本名同じ。経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、現在は「ビジネス+IT」(SBクリエイティブ)などネットメディアを中心に経済・経営、株式投資等に関する執筆活動を続けている。
24 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

日本人ノーベル賞受賞者が出た「電池」次世代電池の研究開発最前線は?

日本人ノーベル賞受賞者が出た「電池」次世代電池の研究開発最前線は?

11月11日は「電池の日」。10月9日、「リチウムイオン電池」開発の功績で吉野彰博士がノーベル化学賞を受賞しました。「全樹脂電池」「リチウム空気電池」「全固体電池」など次世代電池の開発競争もますます盛んで、最前線では日本人科学者も活躍しています。
経済 |
プチプラの次は?フォーエバー21の破綻に見るファッション業界の行方

プチプラの次は?フォーエバー21の破綻に見るファッション業界の行方

断捨離した後の服の行方を考えたことがありますか。経済的な成長の裏にはほとんど犠牲が伴い、堅調な成長を見せるファストファッション市場もその一例です。しかし今、利益追求を優先しすぎたファストファッション業者のモラルと、消費者の良識が問われる時期がきたようです。
経済 |
欧州経済の「日本化」が進んでいる?今後最も避けたい3つの恐怖

欧州経済の「日本化」が進んでいる?今後最も避けたい3つの恐怖

9月12日に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が発表した総合的な金融緩和策では、欧州の低成長と低インフレの長期化を阻止するのに不十分であると市場の評価は冷ややかです。いかなる金融政策を講じても経済回復に至らない「低成長」「低インフレ」「デフレスパイラル」という日本化が本当に欧州圏で進んでいるのでしょうか。
今年の秋は10月からスタートする米国企業の業績発表に注目

今年の秋は10月からスタートする米国企業の業績発表に注目

最近では、トランプ大統領の中央銀行への圧力や世界的に広がる貿易戦争などのトピックスに対して反応が鈍くなっているように感じます。一方で、景気の弱さと企業業績の不透明感が徐々に台頭していることについてはニュースとしてあまり取り上げられてないので知られていません。
ウェルネスブームが世界中で止まらない!4兆ドルの経済効果と背景

ウェルネスブームが世界中で止まらない!4兆ドルの経済効果と背景

マインドフルネスをはじめとした、ウェルネス(健康を維持、増進させようとする生活活動)に興味を持つ人が増えつつあります。ウェルネスツーリズム、アプリなど新たな商品が出回り、今やウェルネス産業の市場規模は4.2兆ドル以上。このブームの実態や背景、昨今のトレンドについて解説します。
経済 |

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

STAGE編集部 STAGE編集部