2019年3月4日 更新

モバイル通信5G電波に死角あり 2019年に技術開発は間に合うか

「5G(第5世代移動通信)」は2025年までに世界で11億回線に達すると見込まれます。周波数は従来の「センチ波」に「ミリ波」が加わりますが、ミリ波は直進性が強すぎ建物内に死角ができる弱点があります。5Gの普及でも死角になるかどうかは技術開発や各社の取り組み次第です。

2018.12.20
2019年から商用化が始まる5G(第5世代移動通信)」では、現行の4G・LTE方式で使われる3.6GHz以下の「センチ波」に加えて「ミリ波」(26/28GHz帯、38/42GHz帯)の電波が新たに使われます。しかし、ミリ波は直進性が強い性質があり雨にも弱い弱点があります。それによってiPhoneのような一般のスマホの利用にも不都合が生じる可能性があります。モバイル各社はそれをどう乗り越えるのでしょうか?

5Gは2025年までに全世界で11億回線に

モバイル通信の新通信方式「5G(第5世代移動通信)」は、立ち上がり時期が2019年に前倒しされ、総務省「平成30年版情報通信白書」の予測によれば、2025年までに回線数は全世界で11億、人口カバー率は34%に達すると見込まれています。
(図表 5Gの回線数、人口カバー率の将来予測)
2019年の「5G元年」を前に、急成長が予想される5Gの主導権争いが激化しています。モバイル基地局で世界トップシェアを占める中国のファーウェイ(華為技術)の副会長が12月にカナダで拘束され、セキュリティの欠陥を理由にアメリカ、日本など先進各国で中国製5G機器ボイコットの動きがひろがると、メディアは「5Gをめぐる暗闘」という論調で報じました。その真実はともかく、5Gが爆発的に成長することは確かです。
5Gの特徴は「超高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」で、スマホで大容量の動画やゲームを楽しむようなモバイル通信の範囲を超え、IoT(モノのインターネット)や自動車の自動運転の通信方式としても利用され、社会の基本インフラになります。だからこそ爆発的な成長が見込めるわけです。

ミリ波の死角は、5G普及の死角になる?

モバイル通信は基地局と端末の間で電波が交わされます。周波数は、4G・LTEは3.6GHz以下の「センチ波」が使われますが、5Gはセンチ波とともに「ミリ波」(26~28GHz帯、38~42GHz帯)の電波も新たに利用されます。5Gのメリットを実現するにはミリ波のほうが都合がいいとされています。
ところがレーダーにも使われるミリ波はセンチ波より直進性が強いので、端末の利用に不都合をきたす可能性が指摘されています。
iPhoneのようなスマホが建物内の窓のある部屋で使えても、廊下やトイレのような奥まった場所では電波が届かず、使えなくなる可能性があります。センチ波はコンクリートの柱や壁を回り込めても、ミリ波はそれができず、反射してしまうからです。
空気中の水滴や水蒸気で反射し雨の日に使えないことも起こります。直進性が強いミリ波は人体も障害物で、端末を両手で包むと電波が届かないという実験結果もあります。
このようにミリ波の直進性によって「死角」ができることは、5Gの普及を阻む「死角」にもなりうるといわれています。

2019年「5G元年」に技術開発は間に合うか

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