2017年4月14日 更新

知名度は低いけど今年注目すべきある経済指標とは(渋谷 豊)

経済の見通し、投資の判断をする際に大切にしている指標がみなさんにはあるのではないでしょうか。

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2017.3.30
例えば、各国のGDP、米国の雇用統計、金利動向、企業業績などがお気に入りといったところでしょうか。
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さて、話を突然変えてしまいますが、今年の春、非常に珍しいことがありました。それは、サウジアラビアの国王が昭和46年から46年ぶりに日本を訪れたことです。(私がただ「46!」と連呼しているわけではありませんよ。)ということで話を戻しまして。サウジアラビアといえば原油を多く保有する原産国として有名ですよね。米国に続いて世界で2位の原油産出量を誇ります。また、トーブといわれる民族衣装に身を包んだ彼らはすごく裕福なイメージが定着しています。もちろん今回の来日でもそのイメージ通りの裕福さを誇示する光景を見かけました。それは、オリジナル・タラップ。飛行機から地上に降りる階段を「タラップ」といいますが、今回わざわざサウジアラビアからオリジナルのエスカレーター式のタラップが持ち込まれました。国王の足が少し悪いということが理由のようですが、それでもやはりリッチだなぁと感じた光景でした。

多くの皆さんが抱いている中東の裕福なイメージですが、時代とともに現実は少し異なってきています。国の収入をほとんど原油の輸出に依存してきたサウジアラビアの財政はなんと赤字なのです。2015年度の財政赤字額は巨額の980億ドル(約11兆円)でGDPの16%に相当します。また、2014年8月からのたった1年間で、外貨準備高(私たちでいうと預金残高みたいなものです)が約7400億ドルから約5300億ドルまで2100億ドル(驚きの23兆円!)も減少しました。つまり、国として収入を補えないので預金を切り崩して生活しているようなものです。その背景は、原油価格の低迷です。原油価格は、2013年のピークから2016年の年初には約60%も下がり産油に依存しているサウジアラビアの収入も半分になってしまいました。「そりゃ〜、国家運営は厳しいはずですなぁ、お察しいたします国王」といったところです。
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この厳しい状況を打破すべく世界の多くの産油国が共に立ち上がりました。これまでなかなか実現しなかった原油の減産が2016年の末に合意に達したのです。これは、みんなで協力して減産をすることで世の中に出回る原油が少なくり価格が上昇することを狙ったものです。そもそもですが、原油価格が低迷すると世界の景気にもマイナスの影響を与えますし、また、サウジアラビアも含めた産油国の財政は苦しいと言われてきましたのでもっと早く合意すべきでした。でも、なかなか減産が実現されることはありませんでした。ではなぜ、産油国はここまで苦しくなるまで踏み切れなかったのでしょうか。

2013年に原油価格が下がり始めた頃、サウジアラビアはガシガシと増産を続けていました。今後、価格が下がっても多くの量を輸出さえできれば国の収入減をカバーできると思ったからです。非常に強気です。また、ライバルのアメリカは原油を掘り出す採掘コストが高く原油価格の低迷はアメリカを追い込み、最後は苦しくなり減産を決断するだろうと読んでいました。その結果、世界に出回る原油量は減りいずれ昔の高い価格に戻るといった博打を打ったのです。ところがその思惑ははずれてしまい自らが苦しくなり減産する羽目になりました。このような背景もあり、現在原油価格は落ち着きを取り戻しています。サウジアラビアにとって決して心地よい価格帯ではありませんが、以前と比較するとホッと胸をなでおろしているはずです。
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ところが、そんな中、最近米国である動きが顕著になってきました。お待たせいたしましたが、ここでやっと指標の話に戻ります。世の中に出回る原油量が少なくなって落ち着いた矢先に、アメリカでは増産が着々と加速していたのです。アメリカではシェールオイルという地下の奥深くに眠っている原油を掘り起こすことで世界一の原産国としての地位を築きましたが、その奥深くを掘り起こすには、「リグ」とよばれる採掘機が必要です。この採掘機の稼働率が2016年6月4日の316機から2017年3月25日までの約10ヵ月で、なんと約2倍にも増えています。これが増え続けるとまたもや原油価格が下がり世界の経済に負の影響を与えそうな情勢です。

さて、このリグの増減を確認できるのが、今回みなさんにお薦めしたい指標「リグカウント動向:ベイカーヒューズ社」です。リグカウントが増加すると石油価格が上がると言われており、石油価格の将来動向を示す先行指標として今年は注目されそうです。石油価格の動向は、経済に大きな影響を与えますので是非、注目してみてください。
渋谷 豊 ファイナンシャルアカデミーグループ総合研究所...

渋谷 豊 ファイナンシャルアカデミーグループ総合研究所(FAG総研) 代表 ファイナンシャルアカデミー取締役

シティバンク、ソシエテ・ジェネラルのプライベートバンク部門で約13年に渡り富裕層向けサービスを経験し、独立系の資産運用会社で約2年間、資産運用業務に携わる。現在は、ファイナンシャルアカデミーで執行役員を務める傍ら、富裕層向けサービスと海外勤務の経験などを活かし、グルーバル経済に関する分析・情報の発信や様々なコンサルティング・アドバイスを行っている。慶応義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。
ファイナンシャルアカデミーグループ総合研究所 http://fagri.jp/
ファイナンシャルアカデミー http://www.f-academy.jp/
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