2019年8月1日 更新

日本人は世界で最も睡眠不足?注目の「スリープテック」で救えるか

OECDの調査で、先進国で国民の睡眠時間が最も少ないのは日本でした。厚生労働省の調査で、睡眠時間が特に短いのは40代の働き盛りでした。ICTの助けを借りて、睡眠の量が無理ならせめて睡眠の質を高めようという「スリープテック」がいま注目されています。

枕元のスマホで睡眠データを「見える化」

gettyimages (43646)

寝具・寝装品メーカーのエアウィーヴ(本社・東京)は、独自の「高反発まくら」「高反発マットレス」などを販売し、利用者から反発ならぬ高い評価を受けています。人間の睡眠の研究から生まれた製品群ですが、その成果を活かして開発したのが、眠る時にスマホを枕元に置くと、目覚めた時に前夜の睡眠データがグラフで「見える化」し、睡眠の質の良し悪しを自分で確かめられるという睡眠計測アプリ「airweave Sleep Analysis」です。無料でiOSでもAndroidでもダウンロード提供されています。
・睡眠計測アプリ airweave Sleep Analysis - エアウィーヴ
https://airweave.jp/pickup/app/
AIを活用した予防ヘルスケアに取り組んみ、最近はフィットネス事業にも進出しているFiNC Technologies(フィンク・テクノロジーズ/本社・東京)は、従業員の心身の健康状態をスコアで可視化し、その課題を分析するツール「FiNCウェルネスサーベイ」を提供していますが、そこでは睡眠の量や質も重要なデータになります。
2019年1月には「FiNCウェルネスサーベイ」に新たに、社員の健康状態や健康リスクを分析して健康経営、働き方改革の投資対効果を可視化する「経済効果分析」機能を追加しています。社員の睡眠不足は個人の健康のリスクにとどまらず、企業に働き方改革に逆行するような悪いイメージがつくことで経営上のリスクにもなりうる、ということです。
たとえば就活生がインターンシップなどでその企業を訪問して、対応した社員が誰の目にもはっきり睡眠不足とわかる顔をしていたら、「この会社に応募するのはやめよう」と思うかもしれません。イメージの悪化で人材を取り逃がすだけではありません。在職中の社員が健康を損ねて戦列を離れたり、離職してしまったら、経営に悪影響を及ぼします。社員の睡眠不足で、個人は健康上のリスクが、企業は経営上のリスクが高まるのです。
先進国ですが、現在の国民は1日に日本人より71分(1時間11分)長い513分(8時間33分)の睡眠をとっているフランスに君臨した皇帝ナポレオン1世には「忙しくて1日に3時間しか眠らなかった」という伝説があります。それが本当なら約200年後のフランス人のおよそ3分の1です。そのせいなのかわかりませんが、島流しにされた先で51歳の若さで亡くなりました。世界で最も睡眠不足の「40代の日本人」がナポレオンよりも長生きしたければ、せめてICTを活用したスリープテックの助けを借りて睡眠の質を高めるのも、いいのかもしれません。

寺尾淳(Jun Terao)

本名同じ。経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、現在は「ビジネス+IT」(SBクリエイティブ)などネットメディアを中心に経済・経営、株式投資等に関する執筆活動を続けている。
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