2017.12.12
今回わたしが手に取った本のタイトルは『旅の報酬』。第1章では、ジョブズや世界の偉人たちが旅から何を得たのか。第2章は「旅が人生の質を高める33の理由」として、旅に影響を受けた起業家たち、そして著者自身の経験から「旅の経験をビジネスや人生に活かすコツ」を紹介しています。
旅のルートやスポットを紹介するわけではなく「旅がもたらしてくれること=旅の報酬」を紹介する本。ちょっと珍しい切り口の本書の中身に迫りたいと思います。
人生のターニングポイントに旅を求めた偉人たち!
本書の第1章、世界の偉人やビジネスの成功者たちの旅についてですが、中でもスティーブ・ジョブズがまだ20代前半、人生に迷っていた時代に経験した旅について掘り下げて紹介しています。ジョブズは日本の禅の教えに影響を受けていたことも有名ですが、禅に出会うよりも前にインド放浪の旅を経験。そしてのちに「インドへの旅がターニングポイントだった」と語っているそうです。
そんなジョブズがインドの旅で得た最大の収穫。それはビジネスのアイデアではなく、インドの人がみな「知力」ではなく「直感」を信じて生きているのを目の当たりにしたことでした。経験から習得してゆく知力よりも、人が生まれながらにして持つ「直感」の方がパワフルだと気付かされたのです。
ジョブズは後世、母校で行ったスピーチの中でも「最も大切なのは、あなたの直感に従う勇気を持つことです。(中略)どういうわけか直感は、君が本当に何になりたいのか既に知っているのです。」と語っています。確かに、ジョブズの人生に旅が与えた影響は多大なものだったのです。
さて、旅には何やら人生を変える力があるらしいことが分かったところで、筆者が提案する「旅の活かし方」を見てゆきます。
「本当に大切なものは、バックパックひとつにおさまる」と気が付く
自らも世界一周の旅を経験したのちに経営者となった著者の成瀬勇輝氏。自身の旅の中で「ものを一つ買ったら、持っているものを一つ捨てる」というルールを課していたそうです。元々は、飛行機に荷物を預けて空港で待つ時間を無くすためでした。しかし、旅を続けるうちに「新しく買うこの靴は、いま履いている靴よりも大切なのか?」など自分の声に耳を傾けられるようになったそうです。
そして、その効果は意外なところに現れます。ものを見極める判断力が、変なプライドや凝り固まった考え方、SNSの友達の数に固執することなど、精神的な判断の見極めにも役立つようになったのだそうです。これはバックパックで長距離移動するという特殊な環境だからこそ身につく能力だと言えそうです。
スタンフォード式「人生がうまくいくシンプルなルール」に学ぶ!

ここ数年、書店やメディアで「スタンフォード大学」というワードを見かける機会が増えたような気がします。スティーブ・ジョブズが伝説のスピーチを残したからなのか? 世界の大学ランキングでベスト3に入っているからなのか? その理由は定かではありませんが、例えば2017年現在も『スタンフォード式 最高の睡眠』がベストセラーの仲間入りをするなどブランド価値はさらに高まることが予想されます。