2019.1.15
経験経済とは
ディズニーワールドの夢のような世界で過ごす幸福感やコンサートの感動など「モノ」ではなく「経験」、または日本で言うところの「コト」への消費は昔から存在する経済活動です。
アメリカのB・J・パインII、 J・H・ギルモアは20年前にこのように「経験」に経済的な価値をおく経済を「The Experience Economy(経験経済)と呼び、「Welcome to The Experience Economy」という論文をHarvard Business Reviewに寄稿し話題となり、その後、著書も出版したことで「経験経済」という認識がひろまりました。
その論文では「経験」の価値は、幸福感や感動がいつまでも心に残るような演出がなされたイベントに魅了された時に得られ、サービスは経験を演出するための舞台で、商品はその小道具として使われる、と説明しています。
このように、経験経済が認識されるようになり、テーマパークやエンターテイメントだけではなく、色々な業種で「経験」の価値を意識するようになりました。
例えば、ハードロックカフェ。本場ロックンロールの演出をした店内(舞台)で、アメリカ料理(小道具)を提供し、臨場感という「経験」を客に与え、客は単に食事をする以上の価値を感じそれにお金を使う、というマーケティングを生み出しました。
ところが、最近は20年前に注目され始めた頃には想定しなかった要因で経験経済が加速しているようです。それは、当時はまだ未知であったスマートフォン、SNSの出現、それを駆使するミレニアルズが消費の中心になりつつあることが理由ではないでしょうか。
なぜ、ミレニアル世代は「経験」を選ぶのか
アメリカの広告会社Harris Pollの調査では78%のミレニアルズが「モノ」より「経験」にお金を使うと答えたそうです。
また、同じくHarris Pollの調査で、69%のミレニアルズはライブイベントへの参加は、人、コミュニティ、世界ともっと繋がれると感じる、77%はライブイベントの参加が人生の中で最高の思い出となっている、と答えています。
Harris Pollの調査をもとに、アメリカのオンラインチケットサービス会社Eventbriteは、ミレニアルズにとって劇的で有意義な人生とは、様々な機会から得た経験の感動や幸福感を思い出にしたり共有したりすること、そして経験は独自性を創出するものだ、とまとめています。