2017年7月31日 更新

いっちょう、皆でやりきろう。~後編~(遠山正道)

「お金とは、払うためにあるもの、と思いたいw(遠山正道)」

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2016.4.25
時代が欲している「価値」を創り出すビジネスは、どうすれば創り出せるのでしょうか。2016年2月3日に開催された、起業を志す人へ向けた講演の内容をダイジェストでお届けします。

■価値あるものに価値があり、価値ないものに価値がない

先日、『Soup Stock Tokyo』を分社化しました。新社長は「スープ事業だけが切り取られて、普通の「外食産業」になってしまうのではと心配されるかもしれない。本当にそうならないようにしようね。」と話していました(笑)。これからも、スープストックトーキョーは、私たちの企業理念である「世の中の体温を上げる」に向かっていきます。

「20世紀は経済の時代、21世紀は文化の時代」だと思います。需要と供給のバランスを考えると、20世紀は需要が十分に多い、ビジネス的には平和な時代でした。椅子とりゲームに例えるならば、椅子はたっぷりあり選び放題で、ゲームにもなりません。しかし今は、需要がすっかり落ちたのに供給はたくさんある状況です。椅子取りゲームならば、非常に多いプレーヤーで少ない椅子を争うというゲームを、落ち着く間もなく頻繁に繰り返しているようなイメージでしょう。
しかし、本当に価値を提供できていたならば、椅子取りゲームに参加しないでもよいのです。
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ヴィーナスフォート立ち上げ時立ち上げたばかりの頃は
自ら店舗にも立った
「価値あるものに価値があり、価値ないものに価値がない」は、当たりすぎる日本語です。しかし、実際はどうでしょう。20世紀に、椅子が大量にある中でゲームをやってきた我々が、その当時に作ったもので、未だに当時のルールや感覚で、今のゲームをやっているのではないでしょうか。それではやはり無理がありますよね。

本当の価値というものを見るべきです。隣で牛丼が300円、コンビニでスープが100円で売られている中、『Soup Stock Tokyo』ではスープ一杯が630円もします。

安くしようとしたら、できることもあるでしょう。しかし、コストを下げて、価値は生まれるのでしょうか?価値も下がってしまっていないでしょうか?
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創業当時のスマイルズのオフィス。すべてはここから始まった
ただ利益だけみて価値を下げてしまうことは、リスクでしかありません。価値を同等に、あるいは上げていかないと、気がついた時には、お客さまは居なくなるでしょう。価値という意識がないと、そうなってしまいます。

また、何が価値なのか、という価値観も様々あるでしょう。世の中にある一般的なリサイクルショップは、なるべく新品に近いものを「価値が高い」と評価するでしょう。しかし、『PASS THE BATON』は違います。3年前ではまだ新しすぎます。20年くらい経たないと、と。また、単純な年月ではなく、「いつ、どうやって使われたものなのか」が大事なのです。

■ビジネスの根っこは「やりたいこと」

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私の事業はいずれも、利益が安定するまで8年くらいかかっています。「経営は下手」と話す所以です(笑)一般的なビジネスならば、3年くらいで撤退となるのでしょうが、そこで「いやいやいや!だって、まだ、あの景色を見てないから!」となだめすかしてきました。

事業の目的が「儲かるから」という理由であれば、儲からないと、事業を続けることができません。しかし、ビジネスは、儲からないこと、うまくいかないこと、失敗することがないということはありません。そのような時、もともとやりたいことでないと踏ん張りが利かないでしょう。また、たとえ失敗したとしても、自分で決めたことであれば、腹は立たないものです。

山登りするなら、どうせ苦労するのだから、前人未到であるとかそこに行かないと見られない美しい景色がある、といった、登りがいのある山がいいですよね。みんなで登っていると、辛いこともあるでしょうし、挫ける人も出てくるでしょう。そういう時に、「頑張って向こうの景色を一緒に見ようよ!決めたじゃない」と言えることが大事です。

登りがいのある山を見つけて、行こうよ、という。いわばそれが、「やりたいこと」です。
美意識であったり、譲れないものであったり、それは個人的なものであったり、熱病のようだったり。そういう言葉が当てはまるのではないかと思います。

■誰にでも、いつだって、価値はありうる

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だから、自分が、何かやりたくて、やるべきことが見つかりさえすれば、あとは「やればいい」のです。

先が見えない未来のことをやるのは、誰もが怖いものです。先が見えないと恐れずに、頭から突っ込まないとできません。みんなそんな怖いことはできないから、行動を起こした人には、周りの人がリスペクトしてくれ、応援してくれます。また、アンテナを立てれば今までスルーしていた情報が引っかかってくるようになります。みんなのサポートと相まって、「次」につながるものです。私の場合も、20年前に個展を行ったことが、今に続いています。

また、合理的な説明ができない方がよいです。なぜなら、合理的な説明ができるものは、合理的な説明で打ち返されるものだから。その人が足で稼いできた話とか、誰かへの恩返しなんだ、といった、他の人にはない個人的な話であることが大事です。

「儲かりそう」や「格好よさそう」からスタートしていたら、今はないと思います。「儲かりそう」でスタートしていたら、儲からなくなった時に続けられなかったでしょう。「格好よさそう」で始めていたら、誰かの二番煎じのようになって、今の『Soup Stock Tokyo』は生まれなかったでしょう。

「誰かが言った」、「何とからしい」ではない、「自分がやりたいこと」。自分が誰かと出会ってしまった、何かを何かと繋げたいと思った、など、「だから、自分(たち)でやらないと」という必然性。そして周りを巻き込んでいくために必要な社会的な意義。これを加えることによって、これまでなかったという「価値」が生まれます。そういう事業ならば「自分たちの手で作った」というプライドも生まれるんです。

最後に、5年前に雑誌『Pen』に掲載された、社員に向けて書いた手紙を読み上げます。
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食べるスープの専門店『Soup Stock Tokyo』、卓越した見立てと世界観のあるセレクトリサイクルショップ『PASS THE BATON』、世界一キュートなネクタイ屋さん『giraffe』といった、誰も思いつかなかったけれど多くの人が「これを望んでいた!」という気持ちになる事業を展開する、 株式会社スマイルズ代表の遠山正道さん。その類まれな感性で時代の流れを読み、それまでになかった価値を生みだすオリジナルのビジネスモデルは、人々に新鮮な驚きを与え、時間をかけながらも着実に受け入れられてきました。
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