シュリーマンは、後年書き記した「イリオス」の序文で、彼が燃やし続けた古代への情熱について回顧します。
トロヤとミケネを発掘した鋤(すき)と鍬(くわ)は、幼いときの八年を過ごしたドイツの小さな村で鍛えられ、磨かれた。
ようやく人生の秋になって大事業にとりかかるにあたり、それを実現させた資金をどのようにして手に入れたのか、語っておくのは無駄ではないだろう。つまるところ、貧しい少年が育んでいた夢であったからだ。
多くの人々の人生で、子供の頃の夢は時の流れとともに色褪せ、仕事・結婚・子供の誕生などいくつかの壁に当たりかつての情熱を失っていきます。情熱と努力を昇華させたシュリーマンの生き様は、私たちに夢を追う大切さを教えてくれます。
【参考文献】
H・シュリーマン「古代への情熱」(小学館)、デイヴィッド・トレイル「シュリーマン/黄金と偽りのトロイ」(青木書店)
H・シュリーマン「古代への情熱」(小学館)、デイヴィッド・トレイル「シュリーマン/黄金と偽りのトロイ」(青木書店)
近代日本の財政破綻の危機を救った蔵相・高橋是清は、転職魔だった
江戸末期にアメリカ・オークランドで牧童をしていた高橋是清は、職業を転々とした三十年余の年月を経て、明治三十二年には日銀副総裁に栄進し、日露戦争や世界恐慌の勃発により日本が財政破綻の危機的状況に陥ったなか、戦費調達や金融・財政政策に辣腕を振るい国家の破綻を救いました。この間の転職歴は十数回におよび、ときには遊びで身を持ち崩したり、事業の失敗で失業するなど人生の辛酸をなめましたが、その生き様の中でどのような軌跡を描き人生の成功者となっていったのでしょうか?