2017年9月29日 更新

「ファイナンシャルプランナーと呼ばれるような連中にお金持ちはほとんどいない」第3章[第7話]

元銀行員の男が起業をして、一時は成功の夢をつかみかけたが失敗する。男はなぜ自分が失敗したのか、その理由を、ジョーカーと名乗る怪しげな老人から教わっていく。"ファイナンシャルアカデミー代表"泉正人が贈る、お金と人間の再生の物語。

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2017.8.11
「こう言えばわかってくれるだろうか、お金というのはひとつのエネルギーなんだ。熱を帯びていて、それぞれの人にとって、最適な温度が違う。少なすぎたら冷たすぎて、居心地が悪い思いをするが、多すぎても熱くなりすぎて、扱うと火傷をするような思いをする。
 中学生に一万円程度を小遣いとして渡せば、服を買ったり、欲しかったモノを買ったりして、上手に使いこなすかもしれないが、一〇〇〇万円を渡したら、きっと上手く使いこなせないはずだ。一万円と同じ使い方ができればいいが、大部分は違うことに使おうとするだろう。そして失敗する」
「………はい」
「だけど、私は、貯金をしろ、なんて真っ当なことは言わないよ。お金というのは、なかなか上手く取り扱えないものだから、いざという時に備えて、貯金をしよう、と多くの人は言うだろう。また、この国の人間なら、そう聞かされて育ってきたはずだ。
 この国の貯蓄額は一〇〇〇兆円近いというね。それだけのお金が眠っている。
 だけど、「いざ」という時はいつなんだい?
 それは 突然やってくる嵐のようなものさ。
 すべてが計画通りにいく人生なんてない。結婚、出産、解雇、起業、引退、病気、災害、そのどれかひとつでも、明日ないと言い切れるかい?
 その時がくるまで、お金を貯めて何度も何度もシミュレーションを繰り返して、ビクビクしながら、いざ、という時を待ち続けるのが気持ちのいい人生だとは私は思わない」
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「でも、人はいつまでも中学生じゃないし、成長するじゃないですか 。当然、扱うお金のサイズも自然と大きくなってくるでしょう」
「そうなんだ。だがお金を扱う能力は、それを扱う経験を増やしていくことでしか伸びない。これは結論だ。最初は小さく、そして、だんだんと大きく。でも、多くの人は大人になって分別さえつけば、お金を扱えるようになると勘違いしている。分別とお金の扱いはまた別の話だ。
 君は知っているかい?

世の中のファイナンシャルプランナーと呼ばれるような連中にお金持ちはほとんどいないということを」

「ファイナンシャルプランナーに金持ちはいない? それはどういう意味ですか?」
「つまり、彼らはプランを立てることはできるが、 金を稼ぐことや増やすことの専門家ではない、ということさ。
 それなのに、人々は彼らに自分のお金のすべてを相談しようとする。自分の懐事情を話して、どうしたらもっとお金持ちになれるかを尋ねる。せいぜい投資信託を薦められるのがオチさ。そういった相談は、彼らこそいい迷惑だろうがね」
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 だんだんと老人の態度がくだけてきた。それは話が熱を帯びていくのに比例していた。この老人は、僕に何を伝えようとしているのか?
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泉 正人 泉 正人