2018年10月24日 更新

次の経済危機のキッカケは?

今年の9月でリーションショック10周年を迎えました。その当時に投資を行っていた人たちにとっては複雑な思いでその日を迎えたのではないかと思います。さて、10周年といえば、今や投資家の間では有名なアノマリー、「経済危機は10年サイクルでやってくる」があります。約30年間、1987年の「ブラックマンデー」、1997年の「アジア危機」、2008年の「リーマンショック」と続いてきた、あまり嬉しくないアノマリーです。

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2018.10.11
さて、2018年も早いもので残り2カ月半になりました。今年を簡単に振り返ると2月に短期的な調整はあったものの、それ以外は比較的無難に通過してきた印象です。しかし、11月には今年の一番の山場ともいわれている米国中間選挙を控えていますので投資家はこれから気を引き締めていくことかと思います。そのため、中間選挙は金融各社からの注目が高く、レポートが多数リリースされています。「中間選挙は株価や景気にほぼ影響がなし」とか、「今年の中間選挙に限っては株価や為替に大きな影響を与える可能性が高い」など、各社の意見が大きく割れて
いることで投資家の興味が増進しているようです。しかも、2年前の本選挙では事前コンセンサスを見事に大外したので盛り上がるのもむりもありません。
とはいえ、今年を締めくくるにあたり中間選挙にだけフォーカスして残り数ヶ月を過ごすのは少しもったいないのではないかと思います。2018年の「木を見て森をみず」ではないかと。そこまで言える理由は、冒頭にお伝えしたとおり2018年が10年サイクルの該当年なので、是非これを機会に過去3回の危機と今の位置の類似性を検証することが大切だと思うからです。
では、10年サイクルのトリガー(きっかけ)は何だったのでしょうか。過去3回の危機をすごく簡単に振り返りながら考えてみたいと思います。

1987年ブラックマンデー

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1987年10月のブラックマンデーは、ドイツ連銀が国際協調を破り「利上げ」を強行したことが主たる原因とされていますが、この利上げに至るまでには足掛け2年の年月がありました。危機の2年前1985年9月に「プラザ合意」がG5で合意されました。投資家であれば誰もが聞い
たことのあるこの合意は、「世界的に協調してドル安を誘導し米国の貿易赤字を解消するぞ!」を目的に開催、合意されました。しかし、思いとは裏腹に合意後もアメリカの貿易赤字は続き、一向に赤字が解消されることはありませんでした。一方、ドル安はだらだらとプラザ合意後も進行し、約
1年間でドル円は237円から153円まで35%もドル安になりました。残念ながらほぼ暴落です。
でも、悲劇はそれだけにはとどまりませんでした。このドル安の副作用として米国にインフレ波が押し寄せてきました。その結果、アメリカ国民の生活は逼迫されました。これではたまならい!ということで1987年2月にルーブルでG7会合を開き、いわゆるルーブル合意です。この合意では、ドル安を食い止め為替の安定を世界的に行うことが決定されました。
しかし、この合意も意外な形で崩れていきます。この時、インフレは米国だけでなく世界中に広がをみせていました。G7メンバーである西ドイツもその一つです。かつてインフレで国家が危機に追い込まれた苦い経験を持つ西ドイツ中銀は、1987年9月に自国のインフレ対策として金利の引き上げに踏み切り世界に激震が走ります。なぜかというと、西
ドイツが利上げをするということは、米ドルの魅力が相対的に落ちるということ。そうなるとドル安になることは明らかです。これをきっかけに投資家は「各国が自国主義に走り
G7の協調は破綻し景気は後退する」と判断。一カ月後の同年10月に「ブラックマンデー」を迎えました。このようにフラックマンデーのきっかけは「利上げ」でした。

1997年アジア通貨危機

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いまから20年前のアジア危機はどうだったのでしょうか。アメリカは景気回復を背景に政策金利を1994年から1995年まで約1年間で7回の利上げを断行。トータルで3%も金利を引き上げました。この利上げが2年後に迎えるアジア危機のトリガーだったとされています。
さて、それから数年前。1990年代といえばアジアの時代でした。輝かしいアジアの時代です。アジア諸国は、積極的に外国資本を受け入れ自国だけでは実現できないような工業化と高成長を謳歌していました。なぜ、ここまで資金が流入したのか?アジア諸国は、できるだけ多くの外国資本流入を受け入れる手段として自国通貨の為替レートをドルに固定するドルペッグ制を採用しました。ドルペッグ制度は、アメリカから見るとペッグ制を導入している国への投資は為替リスクなし、つまり為
替の変動による損失を負うことなくとても安心して投資を行うことができる夢のような投資でした。しかも、高成長のアジアへの投資です。アメリカ国内に投資するよりも高い金利を受け取ることができるし、投資から期待できるリターンも高いし、となり我先にとアメリカから多くの資金が流入し、それに便乗する諸外国からの資金も加わりアジアは隆盛を極めました。
しかし、危機は隆盛の裏側でひたひたと迫っていました。この同時期、アメリカでは強いドル政策を掲げ、政策金利も約1年間で3%も引き上げが起こっていました。この一連の流れにより、これまでドルペッグ制で資金流入に支えられたアジアの通貨に異変が起こります。米ドルが強くなることに引きつられるようにアジア通貨も強くなり、結果として米ドル以外の通過に対してアジア通貨高となり、諸外国からの投資資金の流入が次第に細くなっていく結果を招いたのです。この流れに目をつけた欧州のヘッジファンドが、「アジアの通貨は過大評価されている」としてアジア通貨を徹底的に売りたたきました。その結果、徐々にアジア通貨は脆弱化し2年後にアジア危機が勃発。このようにアジア通貨危機は米国の利上げ終了から2年後のタイミングでした。
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渋谷 豊 渋谷 豊