2019.1.22
ディズニーがハリウッドを独占していく
ディズニーはピクサー(2006年)、マーベル(2009年)、ルーカス(2012年)と有名スタジオを次々と買収しては注目を浴びてきました。そして、ついに2018年にはメディア王ことルパート・マードック氏率いる21世紀フォックスの主要部門を713億ドル(約7兆7億円)で買収の合意を得て、その勢力を益々広げております。
2018年の米国内での興行収入の例を見ると、ディズニーが約30億ドル、フォクスが約12億ドル、合計すると、約42億ドル(約4,536億円)で業界シェアが37%近くになります(Deadline.com) 。買収手続きが完了する2019年からはこれが現実となるわけですから、ライバル社や関係者は気が気ではないでしょう。
公開中の映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』に堂々とカメオ出演させた、歴代ディズニープリンセスに加え、『スター・ウォーズ』、『アイアンマン』、『トイストーリー』などハリウッドの人気キャラクターの顔ぶれを見れば、ディズニーのハリウッドでの独占力が一目瞭然です。
そして、今回のフォックス買収でさらに興行収入歴代1位の大ヒット映画『アバター』とマーベルコミックスの人気シリーズ映画『X-MEN』を引き継ぐこととなります。
今後は人気コンテンツの収集や興行成績の上位だけではなく、フォックスを味方につけアカデミー賞作品賞の受賞も狙いたいところでしょう。
ディズニーの狙いの1つはテレビ部門の充実
意外ではありますが、実はディズニー帝国の一番のドル箱となっているのは、テレビ(メディア)部門です。
ディズニーは米国に「ABC」チャンネルとスポーツ専門の「ESPN」チャンネルを持っておりますが、最近どちらも業績がよくないようです。一方フォックスのテレビ部門はアメリカアニメ史上最長寿の人気番組「ザ・シンプソンズ」をはじめ、数多くの人気テレビ番組を制作しています。
今後は、優れたフォックスのテレビ部門がオリジナルシリーズの制作や、フォックスの過去人気番組の視聴サービスを充実させることで、新体制のメディア部門を盛り上げていくことをディズニーは期待しているのだろう、とニューヨーク・タイムズは述べています。
少しややこしいのですが、ディズニーが既にスポーツ局「ESPN」を持つことから、米司法省は反トラスト法の関係で、買収に含まれるフォックスの22局のローカルスポーツ局をディズニーが買収後、他社に売却することを条件に今回の買収許可を出したのです。一時はフォックスの買戻しも噂されていましたが、今のところまだ売却先は決まっていないようです。