逆にこの90分の眠りを邪魔する実験をしたところ、人の脳波は残りの睡眠時間もバラバラのまま決して元に戻ることはなかったことからもその重要性が示されました。6時間睡眠の人と8時間睡眠の人がいた場合、眠りはじめの質によっては「6時間睡眠の人の方がぐっすり眠れる」ことだってあるのです。
近年、筋力トレーニングなどの分野では「量より質」という考えが浸透していますが、じつは睡眠も同じ。これは目からウロコでしたが、本書で示されたデータを見れば納得がいくでしょう。
スタンフォード式「最高の睡眠法」とは?
本書の第3章ではより具体的に「黄金の90分」の睡眠を深くする方法を紹介しています。
カギを握るのは「体温」と「脳」のスイッチ。これを日常のちょっとした工夫により切り替えることで入眠をスムーズに迎え、その効果を最大まで高められるのだそうです。
例えば、体温のスイッチを入れるためには寝る90分前に入浴するのが効果的。ただ時間がない人は寝る直前に「ぬるめのシャワー」でもOK(もっといいのは足湯!)。という具合に紹介。自分の生活スタイルに合った方法を選択することができると思います。
そして個人的にかなり役立ちそうに思ったのが、本書のいろんな場所で紹介されていた「睡眠の裏技」とでもいうべきテクニック。とりわけ時間のないビジネスマンには有用な情報が盛りだくさんです。
ピンチを乗り切る「睡眠・目覚めの裏技」
まずは「どうしても資料を作らないと…な夜の過ごし方」。
こんなときに最適なのは、眠気があるなら寝てしまい、最初のレム睡眠のタイミングで起きて仕事をすること。つまり「10分だけ寝る」などではなく90分間寝ることで、ゴールデンタイムの効果を得てから起きる睡眠法。徹夜をするよりも格段に仕事の効率が上がるのだそうです。
さらに、目覚めをよくする方法として、朝コーヒーを飲むならテイクアウトにすることを勧めています。覚醒物質として有名なカフェインですが、じつは会話や歩く刺激と共に摂取することでより効果が高まるのだとか。これはすぐにでも始められますね!
「黄金の90分」で睡眠の質を高めながら、どうしても忙しいときはこうした対処法で乗り切る。こうして少しずつでも「睡眠負債」を返済していきたいものですね。