もう1つ例を挙げよう。
あるセレクトショップで、仕入れ値が1万円の洋服を、店頭で10万円で売っていたとする。仕入れ値は、ほぼ交換価値だ。「1万円で仕入れたものに9万円も利益を上乗せするなんてぼったくりだ」と思う人もいるかもしれないが、セレクトショップで店側が売っている価値は、「洋服」という商品そのものだけではない。そこには「商品をセレクトするセンス」や「あなたが本来、そのセンスの良い洋服を探し出すのに必要な手間」が上乗せされている。
この上乗せされた価値が、いわゆる「付加価値」であり、買い手にとっては「使用価値」ということになる。
言い換えると、セレクトショップの顧客は「自分の価値観に合ったものを選んでもらうという使用価値」にお金を払っているといえる。
言い換えると、セレクトショップの顧客は「自分の価値観に合ったものを選んでもらうという使用価値」にお金を払っているといえる。
もし「商品をセレクトするセンス」や「本来、そのセンスの良い洋服を探し出すのに必要な手間」に9万円の価値がないと多くの消費者が感じれば、店頭価格は結果として下がっていくはずだ。反対に、もしそのセレクトショップが1万円で仕入れた洋服を10万円で売り続けることができているとしたのなら、それはこのショップが提供している付加価値が、買い手である顧客に十分に価格と見合っていると認められている証拠ともいえる。
(『お金原論』126〜132ページより転載)
via www.amazon.co.jp
泉 正人
ファイナンシャルアカデミーグループ代表一般社団法人金融学習協会理事長
日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークの3つの学校運営を行い、「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着をめざしている。『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。一般社団法人金融学習協会理事長。