2019.2.13
御社の働き方改革、順調ですか?
2017 年3 月28 日、政府は「働き方改革実行計画」をまとめました。「非正規雇用の処遇改善」「賃金の引上げと労働生産性向上」「長時間労働の是正」「柔軟な働き方がしやすい環境整備」など9 つの分野での改革を求めています。働き方改革は一般に生産性向上と結びつけて考えられることが多く、実際に政府も「働き方改革こそが、労働生産性を改善するための最良の手段」と考えています。
ところが、組織・人事コンサルタントの伊賀泰代氏は、働き方改革で生産性を上げるために何をしているかと聞いても答えられない経営者が多いと指摘。改革を実行していかなければならない当の経営者が、「どのような改革をすれば生産性が向上するのか」について、しっかり考えられていないようなのです。
働き方改革の目的と人材育成改革
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授の高橋俊介氏は、2015 年のインタビューで「ワークスタイル改革 [働き方改革] の本当の目的は人材育成を通してのビジネスモデルの変革」であると答えています。変化の激しいこの時代に確固たる競争力を持ち続けるにはビジネスモデルの更新は必須。そのためにこそ、社員の働き方を従来方式からより柔軟で生産的なものに変えていかなければならないのです。
そこで注目されるのが人材育成。新しい柔軟性のある働き方ができて生産性を高められる人材を育てるということです。しかし、ここで罠にハマる経営者が続出します。「人と組織に関わる人材育成の問題は、ともすれば、個別的な感情や精神論を優先して語られる傾向が強い。自分自身の個人的な人生経験を基に、断定的な議論をする人も多い」(高橋氏)からです。
体力や仕事への熱意、各タスクの得手不得手には個人差があって当然。人付き合いやコミュニケーションの仕方も違います。仕事とプライベートに求めるバランスも価値観やライフステージで変化します。それなのに、「俺はこれで成功した」「やればできる」「信じれば叶う」と押し切られてしまっては、部下はついていけません。このタイバーシティ社会にあって上長にダイバーシティの観点がなければ、部下はため息をつくばかりでしょう。
働き方を変えるには、単純なトップダウンでああしろこうしろと言うのではない、もっと抜本的な人材育成改革が必要であり、そうした改革を担える人材が必要なのです。
働き方改革に求められる人材とは
「改革します」と声高に叫んでも、社員の意識はそう簡単に変化しません。言葉だけで従来のやり方を変えることは難しく、「実際に変わってきてるんだ」という目に見える変化が必要です。