2018.4.10
「家」は定住するためのもの?移動可能な「タイニーハウス」
日本人にとって、家を持つということは定住することとほぼ同義。そして、国民は住民票という形で土地と結び付けられています。
それに対して、遊牧民の国であるモンゴルでは、移動式住居のゲルで生活することを伝統としてきました。現在はウランバートルへの定住も増えていますが、それでも国民の 20%〜40%が遊牧民。寒暖に合わせて調整できるゲルは、現代では太陽光パネルや蓄電池、パラボラアンテナを設 置して草原のど真ん中で IT 化も果たすという柔軟性も持っています。
実は、こうした移動式の小さな住居は、災害やサブプライムローン問題に悩まされたアメリカで も人気を博しています。その名も「タイニーハウス」。移動先で暮らせるし、導入費用も従来よりずっと安いからローンの心配がありません。日本の「家」の概念とは異なる家が誕生しているのです。
タイニーハウスに見られる新しい「家」
タイニーハウスは、10平方メートル前後から大きくても35平方メートル程度の小さな家。固定式のタイプもあれば、車輪がついて移動可能なタイプもあります。固定式のものは、母屋に対する離れや、小さな別荘と言えばイメージしやすいかもしれません。移動式のものは、まさにそうした離れや小さな別荘が、車に牽引されて移動するタイプ。トレーラーハウスもタイニーハウスのうちに入ります。
タイニーハウスの利点は、とにかく低コストで実現できて移動可能なこと。1DK〜2DKの中古マンションでも、都内で1000万円を下回るところはほとんどありません。しかし、トレーラーハウスを導入した事例では、中古トレーラーハウスと土地の費用を合わせて850万円ほど。中古トレーラーハウス自体は、100 万円台から見つけることができます。そして、移動式の場合は不動産と見なされず、固定資産税もかかりません。
では、タイニーハウスによって新しい家を獲得した人々はどのような生活を送っているのでしょうか。たとえば、住宅ローンに縛られたくないという理由でトレーラーハウスを導入した一家の生活。彼らにとって、タイニーハウスがメインの住宅です。徹底的な断捨離の後に始まった暮らしには、現代社会での必需品とも言えるテレビも電子レンジもありません。その分、家の面倒を見る手間が省けて家族の時間をより大切に出来ているようです。
また、ツリーハウスなどをつくる活動を行う男性は、出張が多い生活の中で自宅とは別に移動型のタイニーハウスを制作。出張先でも宿に泊まることはなく、タイニーハウスの中で自炊も可能。プリンターやタブレット端末もあり、家ごと出張先に出向きます。タイニーハウスの制作販売を手がけるタイニー・ハウス・ジャパンの建築家・田上晴彦さんも、メインの自宅にプラスしてタイニーハウスを持っています。コンロと流しが備え付けられているため料理が出来ますし、 オーディオ機器も設置。自宅の離れのように使い、タイニーハウスごと旅を楽しんでいるようです。
メインの住宅を持たずにタイニーハウスだけで移動しながら暮らす人もいます。あるボディーケアセラピストの女性は、トレーラーハウスを住居兼職場として、移動しながら営業し、将来の理想的な定住地を探しているとか。お風呂は温泉、飲み水は各地で湧き出す名水と、その土地ならではの生活や人々との交流を楽しんでいます。
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