2018年11月6日 更新

米国中間選挙が接戦になっている本当の理由とは

米国の中間選挙は現地時間の11月6日に投開票が行われます。9月上旬までの各紙の予想では、下院については民主党が圧勝するという報道がほとんどでした。しかし、開票直前になって下院が大接戦になっていると報じられています。さぁ、結果はどうなるのでしょうか。2016年の大統領選挙でのサプライズは記憶に新しいところです。今回は、経済を切り口にして接戦の理由を分析し実際に経済問題が選挙の争点になるのかどうかを見ていきたいと思います。

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2018.11.5

業種別の雇用をみればヒントがある

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最近までのトランプ政権に対する多くの評価として、大規模な法人税減税などにより好調な株価を伴う経済成長は実現できているものの、トランプ政権の支持層である製造業や建設業に関わる人などはほとんど恩恵を受けていない。それどころか、関税により国民生活は厳しさを増している。だから、共和党離れが進み、民主党優位であるというレポートが目立っていました。
では、事実はどうなのでしょうか?直近の雇用統計で確認してみます。11月2日に発表された10月の米国非農業就業者数は25万人となりました。内訳は建設は3万人増、製造は3万2,000人増、また、製造業は前月1万8,000人からさらに増加。業種別ではレジャー・接客が4万2,000人増加するなど好調なようにみえます。
トランプ大統領の保護主義的な貿易戦争は、米国経済にもマイナスの影響があると懸念されていますが、実際にはもっとも打撃を受けるといわれている米製造業はこのような雇用統計の数字を見る限りではあまりマイナスの影響を受けていないようにみてとれます。また、他の業種である製造業、建設、輸送、倉庫業、ヘルスケアなど、一般的に人の作業に頼る業種も堅調なことから現時点での雇用はかなり安定しているといえそうです。
つまり、選挙の争点とされている「米国内の製造業関係者の共和党離れ」ですが、数字からみる限り現地の人がどのように体感をしているかは不明のため、共和党離れがどこまで浸透しているかは確信できないように思います。

賃金上昇率や失業者数をみればヒントがある

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さて、米国の雇用統計というと前述の雇用者数だけに注目が集まりがちですが、それ以外にも大事な指標がありそこにはヒントが満載です。
・長期失業者数(失業率が27週間以上の数)
2018年10月の長期失業者数は約137万人でした。リーマン・ショック後の2009年10月には680万人でしたかたかなり減っている印象があります。この137万人という水準は2006年と同水準になります。かなり好景気の水準と言えます。ちなみに2006年の就業者数は1億4,442万人で2018年は1億5,569万人なので、約12年間で1,127万人就業者が増えたことになります。これだけ雇用を増やしながら長期失業者数は低水準であることを考えるとリーマンショック前の時よりももしかしたら職を見つけやすい状況だといえるのではないかと思います。
・労働参加率
あまり知られていませんが米国でも大学進学率の上昇や高齢化により労働参加率が低下傾向にあります。ただ、選挙に大きな影響を与えるのは、現役世代として経済を肌で感じている 25 歳から 54 歳までの「プライム・エイジ」と呼ばれる年齢層の参加率を確認し、現在の経済政策に満足しているかどうかを確認する必要があります。プライム・エイジの労働参加率ですが、2015年の80.6%を底に2018年10月時点では82.3%まで徐々に上昇しています。2008年の83.5%までは届いていませんが、この参加率をみる限りではプライム・エイジの不満が高い数字のようには見えません。
・平均賃金
これはかなり上昇しています。10月の平均賃金は前年比で3.1%、時間当たり平均賃金は0.2%増と2009年4月以来の高い伸びになっています。週平均労働時間も前月の34.4時間から34.5時間まで増加しています。この数字は、FRBがめどにしている物価上昇率2%を実現するには十分な根拠で12月の利上げの可能性が高まっています。この利上げを株式市場は懸念する可能性がありますが、有権者からみれば賃金の上昇は単純に嬉しいはずです。

このように全米の有権者を見渡せば、雇用に関する不満は過去の選挙時に比べると穏やかであるように思えます。
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渋谷 豊 渋谷 豊