2019.4.10
引退した今思う「仲間」と「家族」の大切さ
STAGE編集部:自身のキャリアを振り返って、成功できた秘訣は?
村上:私にとっては「浅田真央」という存在がいたからだと思います。小さい頃から真央ちゃんの背中を見て育ってきましたが、本当に不思議なくらい淡々と練習をするんですよ。他の選手や私は、ちょっとサボろうとしてしまうのですがそういうのが一切ないんです。だから「ダメダメ、真央ちゃんが頑張っているから私も頑張らなきゃ!」と思えていたので、フィギュアスケーターとしての私がいるのはそのおかげだと思います。
あとは、真央ちゃんが海外で練習するようになってからは、ずっと昌磨(宇野昌磨選手)と一緒に練習していました。2人でプログラムのジャンプを頭から順に挑戦して、失敗したらまた振り出し。どっちが早く終わるか競争したり。そんな練習をよく一緒にしていました。
一時期はケンカして全くしゃべらない時期もあったのですが、それを経て今は「頑張ったね」とか、「あれは悔しかった」とか昌磨の試合のことも話してくれたり、スケートに関係のないプライベートの話もしたりしますね。
STAGE編集部:経済面を含め、ご両親のサポートについてはどう思いますか?
村上:私がスケートを始めた頃から、母は付きっきりで練習を見てくれていたのですが、プロになりなさいとは一切言われなかったし、お金の心配もしないように管理してくれていました。なので引退してアイスショーに出るようになって初めて衣装代を知って「嫌だ、こんなにかかっていたの?」と思って、今は抑えられるところは抑えるようにもしています。市販の衣装を買って、移動中にストーンを付けたりしているときもあります。
レッスン代は未だに分からないですね。もし自分だったらと思うと、とてもじゃないけどできないようなサポートをしてもらったと思うので、その心は受け継いでいきたいです。
そして父は、いつも見守ってくれる存在です。私はどちらかというとパパっ子で、練習の送り迎えの車の中の、別に何をしゃべるわけではない2人だけのリラックスした時間と空間が大好きでした。それに、スケートをしていると家族の時間がなかなかとれなくなってしまうこともあるんです。ご飯を食べる時間も違うし、夜まで練習もあるので。
私の場合は1月1日以外毎日滑っていたので家族全員で旅行に行った記憶もありません。それも許してくれた父には感謝しています。
STAGE編集部:そんな家族が揃った、最後の試合。