ダイヤモンドの原石は輝いていないという事実
ダイヤモンドは元素で言えば炭素です。炭や煤(すす)などと物質としてはほぼ同じもの。ここまではよく知られていますが、それより踏み込むと、結構、誤解されている点も多いようです。
まず、ダイヤモンドは、原石の状態ではキラキラしたものではありません。
ダイヤモンドは屈折率が高く(2.42)、内部での全反射が起こりやすいため、「うまくカットすればキラキラ輝いて見える」のです。ブリリアントカットでは、表面反射(シンチレーション)と内部反射(ブリリアンシー)が組み合わさって、方向を変える度にチカチカと白く煌(きら)めくように輝きます。さらに多数回の内部反射(ディスパーション)の結果、虹色の輝きも加わります。
また、ダイヤモンドは、原石の状態では尖ったものではありません。
野球やトランプでひし形をダイヤと言いますが、これも角張った形にカットされるからそう言われるだけで、天然の結晶がダイヤのかたちをしているわけではありません天然ダイヤモンドには特に決まった形はありません。
さらに、ダイヤモンドは燃えるのかという点。
炭と同じ炭素なのでボウボウ燃えるイメージを持っている方も多いと思います。しかし、ダイヤモンドはもともとかなり安定した結晶なのでそう簡単には燃えません。800℃以上の高温で酸素の中に置いておくと、表面の炭素が二酸化炭素になってだんだん小さくなっていくという感じです。
ダイヤモンド惑星とは
さて、ダイヤモンド惑星です。
実は炭素は、宇宙では4番目に多い元素なんです。1位は水素、その後、ヘリウム、酸素で4番目が炭素です。
このため、昔から、宇宙には、炭素でできた惑星(炭素惑星)はかなり多いのではないかと言われていました。中心核は重い鉄ですが、その周りが炭素です。
この場合、炭素は、惑星表面では炭のような物質(グラファイト)ですが、中心に近づき高圧になるとダイヤモンドになります。これはダイヤモンド惑星とも呼ばれます。ダイヤモンドは1,200~2,400℃の高温と超高圧下でできますから、温度条件が満たされると炭素惑星の多くは内部に分厚いダイヤモンド層を持つダイヤモンド惑星になります。