【プロセス4】
消費者レベルで常態化。贈答品を選ぶ場合などに、贈る側が大丈夫と思っていても、受け取る側がどう思うかを考えて、風評の対象になっている商品や企業を避ける。小売店が先回りして当該商品などをラインナップから外す。
常態化の打破には、「イメージ戦略」ではなく「安全の根拠」を伝えることが重要と関谷氏は述べます。検査や調査を行ったのであれば、何をどのように、どれくらいの期間・頻度で行い、結果はどうだったのかを説明する必要があるのです。
何でも「風評被害」にすると対策を誤る
一方、何でも「風評被害」とするのは適切ではないと静岡大学防災総合センターの小山真人氏は指摘します。
「風評被害」という言葉を使いすぎると、消費者が実際に不安を訴えて経済的被害が生じる場合と、消費者が実際にどう思っているかを置き去りにしたまま報道によって情報が拡散され経済的被害が生じる場合との区別ができません。そこで、「風評被害」の代わりに「消費者の安全不信による経済的被害」などと表現するほうが良いと小山氏は提案しました。
本当に消費者の安全不信が原因となっているのであれば、どのような人々にとってリスクが生じているのかを検討する必要があります。その上で、まずは関係者が誠実な姿勢を示し、消費者の立場に立った情報を発信する必要があります。安全キャンペーンを行うなら、やはり、きちんと安全性の根拠を伝えなければならないのです。
御社の風評被害を診る「カイシャの病院」
風評被害専門の「カイシャの病院」で診てもらうのも重要な選択肢のひとつです。ソルナ株式会社が、そうした専門会社です。
風評の中には、障がいのある従業員によるお釣りの渡し間違えを「泥棒」と呼びネットに書き込むなどの例もあります。風評被害拡大のプロセスにおいてメディアの影響力は非常に大きいものですが、同時に、ネットへの個人による悪意ある投稿をきっかけに被害が拡大するケースがあるのも事実なのです。
ソルナでは、企業に対して風評被害の「治療」と「予防」を行います。「治療」では逆SEOを行い、ネット検索での検索順位を下げて人目に触れる機会を減らします。
「予防」では、ネットの風評被害監視と従業員向けのネットリテラシー研修を行います。
また、社員採用の際に「ネットの履歴書」も評価。応募者のSNSアカウントやネットへの書き込みを調べ、犯罪歴がないか、履歴詐称していないかなどの他、「死ねなどSNS上の暴力的な発言」をしていないかなどをチェックします。これは、「風評被害などネット上のトラブルは現社員や辞めた社員が引き起こしている場合が圧倒的に多い」ことへの対策です。