2019.9.2
孫正義氏の片腕だった人が「会議術」を指南
一人のビジネスパーソンが大学を卒業してから70歳まで働くと、生涯勤務時間は8.5時間×年250日×47年=ほぼ10万時間で、その4割にあたる4万時間が「会議」に費やされるという試算があります。1日平均で約3時間です。実際は、午後から始まった会議が中断をはさみながら夜まで続くこともザラにあるでしょう。そのたびに、口には出さなくても出席者は「時間のムダ」を感じます。
そんな会議の生産性をアップし、「良い会議」を開くにはどうすればいいかを提案する『最高品質の会議術』(ダイヤモンド社)を昨年3月に出版したのが、ソフトバンクで孫正義氏の片腕としてプレゼン資料づくりにたずさわり、移動体通信事業の事業提案や社内改革で成果をおさめた前田鎌利氏です。2013年にソフトバンクを退社した後は、さまざまな企業で研修講師として活躍しています。
「会議の品質は、仕事の品質であり、会社の品質である」と話す前田氏は、「スピード×意思決定×チームビルディング」のマトリックス(掛け算)を最大化すれば、会議の生産性は劇的にアップすると言っています。では、具体的にどうすればいいのでしょうか?
良い会議は「30分」「少人数」「資料は1枚」
●会議は30分以内に終える
社内の時間割はキリのいい「1時間区切り」がけっこう定着していますが、前田氏はあえて会議を「30分」で終えることを提唱しています。理由は人の集中力は15分周期だからで、「報告、伝達、確認など情報を共有するためのインプットに15分」+「提案、相談、議論などのアウトプットに15分」で30分が適当としています。会議室に大きな目覚まし時計を置いて、28分経過したらベルを鳴らしてもいいと前田氏は提案しています。
●会議の参加者は少人数に絞る
会議中は勤務時間なので給料が支払われます。「会議の出席者はコスト」と意識せよと、前田氏は言います。人数が増えると各自に発言の機会を与えるので、意思決定はそれだけ遅れます。「あいつも一応、出席させとくか」は会議の生産性を下げます。何でもかんでも「全員会議」は禁物で、テーマ別、目的別の出席者を選抜した少人数の会議でスピーディーな意思決定を行うべきだといいます。
●会議の主要資料は1枚でいい
前田氏によれば、会議用の資料がぶ厚い会社は会議時間が長くなる傾向があるそうです。それを読み上げるだけで時間をムダに使ってしまいます。そうではなく、提案書など会議用の資料は「課題とその原因」「(プランA、プランBなど)解決策とその効果」のような要点を単純明快に記した「サマリー(要約)」1枚にまとめ、それ以外は「補足資料」として別途配布すればいいといいます。サマリーに基づいてプレゼンし、質疑応答で補足資料を見るようにすればいいというわけです。