今度はリーダーが人から軽蔑されることについて考えてみましょう。
ビジネスシーンにおいてリーダーが軽蔑されるケースとは、リーダー自身の態度に問題がある場合です。はっきりとした方向性を打ち出せず、指示を的確に出せない上司。そして言うことが頻繁に変わる上司は部下から信頼されるどころか、軽蔑されかねない態度でもあります。
さらに、リーダーの資質が問われるのは、会社内で何かしらの問題が起きたときでもあります。
何か会社にとって不都合な問題を報告しにきた部下を怒鳴りつける上司と、部下からの報告が上がりやすい環境を整える上司とでは、どちらがリーダーとして優れているでしょうか。
前者であれば、部下は問題を隠し、組織的にも隠蔽体質の風土が生まれやすくなります。隠蔽体質の組織が行き着く先が、リーダーであるはずの責任者の無責任さと不祥事であることは、パナソニック(旧松下電工)で発生した不良品ヒーターの回収対応と雪印乳業による食肉偽装事件の比較からも明らかです。
前者は自社製品である石油暖房機による一酸化炭素中毒事件が起こったあと、あらゆるメディアを使って同製品の修理・点検や回収を呼びかけ、消費者からの信頼回復に努めました。反対に、後者は組織の隠蔽体質から食中毒や食肉偽装という不祥事を数度引き起こし、最終的に解体してしまったのです。
ではリーダーは結局どうふるまえばいいのか
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思慮深く、落ち着いた立ちふるまいを磨くべし
信じることや行動においては慎重であり、かつ己の影におびえてはならない。そして熟慮と人間味とで抑制しつつ、過度の信頼によって無用心を招くことなく、また過度の不信によって耐えがたい者とならぬように行動すべきである。
『君主論』第十七章「冷酷と慈悲について。また怖れられるよりも慕われるほうがよいか、それとも逆か」より抜粋
リーダーは、道徳に反することをしても良い(ただしその必要に迫られた場合のみ)が、憎まれたり軽蔑される行為をしてはいけない。
とすれば、リーダーは結局どのようにふるまえばいいのだ?と混乱する人もいるかもしれませんね。その答えが上記の引用文に集約されているのではないでしょうか。
軽々しく人の言い分を信じたり、性急に行動を起こしたりすべきではなく、かといって臆病になりすぎてはいけない。つねに思いやりと思慮を持ち、落ち着いた行動を心がけるべきである、と。そうすれば、疑うことを忘れて軽はずみなことをしたり、疑いすぎて嫌われたりすることもない、ということなのです。
自身の立場に慢心せず、何がリーダーとしてあるべき姿であるのか。リーダーはこのことを絶えず考えながら行動しなければならないのかもしれませんね。