2018年6月7日 更新

究極のミニマリストが次に見据えるキーワードとは?「いいもの探し」はもうしない―。〈沼畑直樹〉

「お金とは、嫌いな人が見当たらないモノ。(沼畑直樹)」

2017.1.30
ウェブサイトや著書などで、“ミニマリズム”という生き方とその哲学を発信する沼畑直樹さん。日本各地で暮らし、旅してきた経験から少しずつ研ぎ澄まされてきたミニマムな生活が確立したのは、4年前の片付けがきっかけだったとか。心地よい人生を送るためのプライオリティやお金の使い方、これから見据える暮らしについて聞きました。

■例えようのない清々しさが原体験

STAGE編集部:はじめに、沼畑さんが「ミニマリズム」という価値観とご自身のライフスタイルを結び付けたきっかけについて聞かせてください。

ミニマリズムという概念を強く意識するようになった一番のきっかけは、2013年の秋に今住んでいる家を片づけたこと。特に大きな理由はないのですが、妻の「モノを捨てたい」という一言がきっかけで、本気でモノを極限まで減らすことに挑みました。さらにさかのぼると、2011年の初頭に、たまたまある雑誌でドイツ人文学研究者の「究極にモノの少ない部屋」を目にしたとき、例えようのない清々しさを感じたという影響も大きかったですね。
STAGE編集部:今日伺っているこの部屋は、沼畑さんの生活空間でもあるのですよね。本当にシンプルでスッキリとした印象です。

はい。できるだけモノが目につかないように収納しています。そして、何も置いていないテーブルの上で、自分でドリップしたコーヒーをゆっくりと飲む時間が至福の時間になっています。モノが多い空間で同じことをするのとは、まったく違う感覚を味わえていると思います。
この家自体も妻と娘と3人で暮らすにはコンパクトで40平米程度。でも、日当たりがよく、僕たち家族にとっての心地よさの条件は十分に満たしてくれる住まいです。

「ミニマリスト」というと、単に部屋を片付けてモノを減らす人と捉えている人も多いようですが、僕の場合はモノを減らした先の「その空間で何をするか」という部分がとても大事なんです。

■ただ空を見つめる時間の豊かさを知った学生時代

STAGE編集部:モノではなく、人生で過ごす時間の質を重視されているのですね。今の考えに至るまでには、どんな価値観を持っていたんですか?

振り返ると、20年以上前、20代の頃にすでにミニマリズムを体験していました。当時は、ミニマリストという言葉さえ知られていない頃でしたから無意識のうちに。
札幌から画家を目指して美大を受験するための美術学校に通っていたんですが、「画力をいくら身につけても、描きたい対象を知らなければ意味がない」と考えて“体験”を求める旅に出ました。荷物はリュック一つで、お金もない。日本の各地を回りながら感じたことを詩や写真に表現するようになりました。そして辿り着いたのが沖縄の久米島で、海に浮かんでただ空を見つめる時間の豊かさを味わって、心からの幸福感を実感したのもこの頃です。
その後、那覇の放送局で働いた後、東京の代官山に引っ越してきて、新宿の出版社で働いていました。そして、今の吉祥寺の家を買ったのが33歳の時。初めて自分の持ち家を持ったことで、その頃は物欲が今よりもずっと強かったですね。

吉祥寺はショッピングも楽しい街ということもあって、週末には「何かいいものはないかな」とぶらぶらと歩く。何か欲しいものがあるのではなくて、買い物自体が目的になっていて、いつも「いいもの探し」をしていましたね。置き場所を考えずに衝動的に雑貨を買って、持ち帰ってから困ったり。無意識にモノを買い続けると、モノが増え続けていくというシンプルな事実に無自覚で、漫然と買い物をしてはすぐに使い飽きてまた買う……というのを繰り返していました。
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