2019.3.20
「ビジネスゲーム」を一流企業も取り入れる
社員研修(集合研修)というと、学校のように講師が「授業」を行って、それを聞いて後でレポートを提出するというのがオーソドックスなスタイルです。それを「座学型研修」と言いますが、居眠りしたり、ろくに聞いていなかった社員に、他の参加者のレポートを見てバレないようにアレンジを加えたレポートを提出されたら、効果のほどは「?」です。
座学型ではなく、社員研修で参加者に「ゲーム」をさせる企業があります。ゲームと言ってもスマホや任天堂やソニーの家庭用ゲーム機でするのではありません。有名どころで言えば「モノポリー」や「人生ゲーム」のようなシミュレーション・タイプの、4~6人の小グループで行うカードゲームです。それを「ビジネスゲーム」と言います。
主体的に参加する「体験型・参加型研修」のビジネスゲーム研修は、アメリカで行われていたのが日本にももたらされました。その研修支援を行うハートクエイクによると、導入企業にはソニー生命、三菱商事、日本たばこ産業、日立製作所、P&G 、資生堂、LIXIL、ウシオ電機、グーグル、野村総合研究所、アクセンチュア、日本GE、監査法人トーマツなど一流企業が並んでいます。社員研修のビジネスゲームは決して、若者ウケを狙ったおもしろ企画や研修の「息抜きタイム」ではありません。その狙いはまじめです。
ビジネスゲームにはいろいろな種類があります。営業マンが商談をまとめる、新規プロジェクトを成功に導く、クレームに対応して顧客満足度を上げるなどの「ビジネス疑似体験もの」もあれば、失敗から何を学び、どうやってリカバリーできるか問われるものや、まるでパニック映画のようなサバイバル・シナリオが用意されているものもあります。
共通しているのは、ゲームなら心理的なハードルが下がり、参加者がリラックスしてよくしゃべるので人間性があらわれやすくなること、チームで競わせれば競争心が生まれ、達成感を共有できること、講演料などが不要でコストパフォーマンスが良いことなどです。
コンセンサスゲームの定番「NASAゲーム」
ビジネスゲームに「コンセンサスゲーム」というカテゴリーがあります。ある課題(ミッション)を与えられ、チーム全員で問題の解決策を話し合い、合意して意思決定を下します。状況設定やミッションはビジネスに無関係なものが多いようです。
最も有名なのが「NASAゲーム」です。アメリカの社会心理学者ジェイ・ホール博士が1970年代にアポロ計画をもとに考案し、NASAが監修で協力しています。
ミッションは、故障して月面に不時着した月着陸船を、300キロ離れた月の周回軌道上の司令船(母船)にドッキングさせ、地球に無事生還することです。月面上で宇宙飛行士は15種類のアイテムを持っていますが、使う優先順位をどうつけるかが問われます。その理由も考えなければなりません。