仕事において困難を乗り越えることは、新しいキャリアを拓くチャンスでもあります。
過去の知見や現場の人たちが行ってきたことを見聞きする
蓋し知らずしてこれを作る者あらん。我れは是れ無きなり。多く聞きて其の善き者を択びてこれに従い、多く見てこれを識(しる)すは、知るの次なり。(述而第七)
(意味)本当に物事の道理を知っているわけでもないのに、勝手に自説を創作してしまう人がいる。私だったらそんなことはしない。さまざまな話を聞いて有益なものを選んで従う。多くの書物を読んで記憶しておく、これらは知識のまた別の形の一つだ。
様々な意見に耳を傾け、アイデアや技術を掛け合わせる
IT技術の進歩により、ビジネスの世界では独自性や創造性に価値が置かれるようになりました。しかし、独自性や創造性は、何もないところから生まれるのではありません。
私たちは日ごろ何気なく思いついたことをひらめきやアイデアだと勘違いしがちですが、実際のところ、そういった思いつきは既に誰かが同じように思いつき、実施しているものなのです。
アイデアやひらめきは、既存の知識や技術の掛けあわせで起こると言われています。
既存の知識や技術を洗い出す
良い例として富士フイルムの化粧品事業への参入が挙げられます。
大手フイルムメーカーの富士フイルムは、デジタルカメラの普及によるフイルム市場の縮小を背景として、化粧品分野への参入を果たしたことが話題となりました。
カメラ産業とヘルスケア産業双方にオンリーワンの存在感を示す富士フイルムの独自性は、突然のひらめきやアイデアによるものではなく、創業以来蓄積してきた技術や知見を棚卸しして強みを見出したからです。そして、フイルム技術を化粧品に応用できたのも、カメラフィルムだけではなく、医療分野で使用するX線フイルムを販売していた経緯があるからです。
まったく新しいことに取り組んだわけでなく、既存の技術と経験を掛け合わせたことでオリジナリティを発揮することができたといえます。
れは個々人のキャリアや仕事における強みを考える点でも同じです。新しい知識を日々勉強で身につけることも大切ですが、自分がこれまで歩んできたことを振りかえり武器に出来ることは何かを省察することも重要となります。