2017.11.21
今回手に取ったのは『スタンフォードの心理学講義 人生がうまくいくシンプルなルール』。著者はケリー・マクゴニガル氏。スタンフォード大学で健康心理学を教える女性心理学者です。
彼女といえばTEDプレゼンテーションで紹介した「ストレスと友達になる方法」のスピーチ動画が再生回数1,100万超えを記録して一躍有名になりました。著書『スタンフォードの自分を変える教室』は2012年に日本でも発売され、60万部のヒットを記録しています。(ビジネス書の年間ベストセラー1位!)
気になる本の内容は、彼女も実践しているシンプルな生活習慣や人生のルールについて。主なジャンルは「人間関係」「モチベーションの上げ方」、そして「ストレス」など。心理学研究で世界をリードするスタンフォード大学だけあって、その効果を裏付ける科学的データは説得力があるものでした。私たちにも使える習慣はあるのかさっそく見ていきたいと思います。
人間関係のコツは、他人がどう思うかを“正しく”気にすること!
「あなたって他人の目を気にするよね!」と言われたらどんな気がするでしょうか。おそらく少し嫌な気がするのではないでしょうか。それは、私たちはいろんな場所で「他人の目を気にする必要はない、自分らしさを貫くべき」などと聞かされているから。しかし、著者はこの考えに異論を唱えます。
それは、人間の脳には「仲間に溶け込みたい」という基本的欲求が組み込まれているから。にもかかわらず、他人の目を気にすることが悪とされる理由は、気にするあまり正常な判断ができなくなることがあるからなのだとか。では、それを回避するためにはどうすればいいのかというと「すべての人を満足させることは不可能だ」という事実を受け入れることなのだそうです。
さらに自分と他人の価値観は異なるので、他人にアドバイスを求めるときは自分の目標についての是非を聞くのではなく、目標を達成するための手段についての意見を聞くべきだとしています。確かに、この方法なら自分が重要にしている根幹の部分は揺るぎません。人にアドバイスを求めるときの参考になりそうです。
2種類の陰口を使い分ける!
続いて紹介するのは、自身の心に生じるマイナス感情に対処する方法。中でも「陰口」に関する記述は特に興味深いものでした。というのも、最近の心理学では“なぜ人が陰口を言うのか”をテーマにした研究が進み、人は「自分のため」と「人を助けるため」の2種類の陰口を言うことが分かってきたのだといいます。
「自分のための陰口」とは、主に自分がライバルだと感じている人に対してのもの。つまり他人の評価を落として自己PRにつなげる効果を狙った陰口です。対して「人を助けるための陰口」とは、自身の正義感からくる告発やアドバイスに近いもの。自身と利害関係にない人に対して言うこともあるのが特徴です。
以上の事実を踏まえて彼女が実践する習慣は、陰口を言いたくなった時は、まず「もっと他の方法で自分の価値を高める方法はないか?」と考える。そして、誰かのためになる陰口は勇気と思いやりを持って積極的に話すというもの。こうすることで、陰口というネガティブな衝動を前向きにとらえることができそうです。