2018.2.23
ミュージシャンとして活動する中でぶつかったひとつの壁
STAGE編集部:東大を中退し音楽活動に専念し、ミュージシャンとして一人前に?
グローバー:ミュージシャンとして一人前になったと思ったタイミングはありません…。いまだに仕事も含めて一人前だと思っていませんね。
大学と中退してSKA SKA CLUB(スカスカクラブ)という大学で組んだメンバーとやっていたのですが、次第にメンバーも就職していったりとかいろんな事情で、また別のバンドを作ろうとなってJackson vibe(ジャクソン・バイブ)というバンドを組みました。
そのJackson vibeで『アットホーム・ダッド』(2004年)というテレビドラマの主題歌をやらせてもらったんです。チャートでも上位に入って、レコード会社の人たちや周りの友達とかにすごく褒めてもらったんですけど、自分の中では全く手応えがなく、真っ暗な中をただ腕をぶん回して、それがたまたま何かに当たっただけのような(笑)
自分を鍛錬して、自分の考えで何かつかみ取った、一人前になったみたいな感触はなかったので、未だにその延長戦という感じですね。
STAGE編集部:でも、苦悩の時期が始まる…。
グローバー:ある時、ラジオ・MTV・スペースシャワーTVとか、ライブなど純粋な音楽活動以外の仕事を全部辞めたんです。何かこう音楽だけをやるというのを突き詰めたいと考え始めた時期があって、曲を作ってライブをやってということだけに集中しようと思ったんです。もっと自分が満足できる曲を作らなければいけない、自分の音楽でセールスを上げてレコード会社の人に喜んでもらわないといけない…などと考えて。
でもそこから何年も苦しい時期が続きました。音楽について考え始めた頃から逆に苦しくなっていったんですね。学生の頃にプロになろうとも思わずに、純粋に好きで音楽をやっていたら、いろんな方に引っ張り上げてもらったり、背中を押してもらったりしていた時の方が調子が良かったです。何か決意して頑張って目標を達成しようとすると、肩に力が入ってしまって良くなかったのかもしれませんね。
STAGE編集部:その壁はどうやって乗り越えたんでしょう。
グローバー:先ほどの話とも重なるのですが、一番大きいのは結婚して子供も生まれて、いろんなけじめつけようとして、もう一度大学に行ったことですね。