2019.7.11
歴史に残る偉大なパトロンたち
美術館では、何世紀も昔の作品を見られます。図書館では、不屈の名作が読めます。数えきれない戦争や災害をかいくぐり、クリエイターと作品を守ったパトロンの存在があったからです。
もちろん、立派な動機を持ったパトロンばかりではなかったでしょう。権力のアピールや政治的陰謀が優先したケースは多いですが、それでも彼らのおかげで、この世に生まれて守られた作品があることは、まぎれもない事実なのです。
西洋のパトロンは、皇帝や教会、貴族や富裕層でした。例えばバロックと呼ばれる芸術や建築は、ルネッサンス期カトリック教会のバックアップがなければ発展しませんでした。
よく知られているのは、銀行家や政治家としてフィレンツェを支配した一族、メディチ家です。メディチ家が支援したのは、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ボッティチェリ、ミケランジェロ……何とも錚々たる面々ですね。
日本のパトロンは、朝廷や貴族、大名や富裕層。画家は、御用絵師やお抱え絵師と呼ばれていたようです。優れた刀鍛冶、彫刻、金工細工といった職人たちも、有力者に召し抱えられました。
近代では、フランス社交界で名を馳せた大富豪の薩摩治郎八があげられます。次郎八は、異国モンパルナスで活動する当時の日本人クリエイター(藤田藤二、高野三三男など)を支援しました。
また、セゾングループ(無印良品、パルコ、ロフト、その他)を一代で築いた堤清二も、自ら設立した美術館や劇場という「発表の場」を、数多くの現代クリエイターに提供しました。
今すぐ始められるパトロン系サービス
副業解禁や時短勤務といった働き方の多様化で、パラレルワーカーのクリエイターは増えています。彼らは創作とオフィスワークのどちらかに比重を置くのではなく、本業と趣味をはっきり分けるのでもありません。
必然的に、求められる支援のあり方も変化しています。身近な例は、ブログサービスやSNSで見かける投げ銭システム、Amazon欲しいものリストの公開でしょうか。