2019.9.13
人事とAIは好相性:膨大な従業員データを有効活用
人事の業務には多大な労力がかかります。採用のための会社説明会開催、応募書類チェック、面接の日程調整と実施の他、既に働いている従業員に対する研修の実施や人事査定、配置と幅広く、対象人数が増えるほど大変になります。人事担当者は忙しすぎて一人ひとりに細かく対応する余裕がありません。
さらに、人事の様々な判断が、担当者の勘と経験に基づいています。そのため、採用すべき人材の適性についてデータに基づいた具体的モデルがなく、新入社員の定着率が上がらないという現象が生じます。
こうした問題の解決策の一つが、「人事を科学する」ことです。AIによる最適な採用と組織作りを支援するInstitution for a Global Society社CEOの福原正大氏は、AIとビッグデータを組み合わせることで、多大な労力を要する人事の業務が、勘ではなくデータに基づいた科学的なものになり、効率化されると指摘しています。
人事にAIを導入すると勘に頼らない採用と育成が可能になる
採用にAIを導入すれば、まず書類選考を効率化できます。それによって、これまで見落としていた人材を見つけ、面接すべき応募者を効率的に絞り込めるでしょう。
採用面接では、応募者が自分で録画・投稿した自己アピール映像の音声・言葉・表情を分析し、自社で活躍する人材になる確率を提示するAIがあります。自己アピール映像と採用結果、採用後の評価といったデータを3年ほど蓄積しつつ運用することで自社に適したモデルが構築され、採用基準を明確化することも可能です。
従業員の育成・配置では、仕事に対する意欲を見える化します。従業員の勤怠データや表情の変化、発言内容を分析し、モチベーションが低下しつつある従業員を見つけて早めのケアにつなげる他、仕事への適性やキャリア形成に必要な研修プログラムの提案なども行えます。
AI×人事の課題は社内の「AIリテラシー」不足
しかし、AIを導入すれば何でもすぐに解決すると考えるべきではありません。インタビューの中で、福原氏は「AIリテラシー」の重要性を強調しています。
AIリテラシーとは、AIには何ができて何ができないのかを知ること。AIはあくまで過去のデータに基づいて判断材料を提供するものであり、決定の責任者でも予言者でもありません。最終的な判断は人間が行うということを忘れてはいけないのです。
実際に人事にAIを導入してみたが効果的ではなかったと感じる場合、データは適切だったか、AIにできないことを任せようとしなかったか、判断をAIに丸投げしてAIが何でも答えてくれると考えていなかったかをチェックしてみましょう。
AIリテラシーとは、AIには何ができて何ができないのかを知ること。AIはあくまで過去のデータに基づいて判断材料を提供するものであり、決定の責任者でも予言者でもありません。最終的な判断は人間が行うということを忘れてはいけないのです。
実際に人事にAIを導入してみたが効果的ではなかったと感じる場合、データは適切だったか、AIにできないことを任せようとしなかったか、判断をAIに丸投げしてAIが何でも答えてくれると考えていなかったかをチェックしてみましょう。