2018年12月15日 更新

名画鑑賞では身体変化を意識しよう!感性を磨くアート研修

アート研修の目的は、今ビジネスにおいても重要視されている「感性」を磨き表現能力を開発することです。感性が磨かれると人生は豊かに彩られるでしょう。名画を鑑賞するときに身体感覚を意識することで、独自の体験として語ることができます。 今回は「名画に温度を感じる」です。

画像提供 Bunkamura ザ・ミュージアム

2018.12.15
さて、あなたはこの作品に、どんな温度を感じますか?

皮膚の記憶をたどって作品鑑賞

gettyimages (26956)

今年もあとわずかですね。
東京もだいぶ冷え込むようになり、朝、顔を洗った後のいつまでもひんやりした皮膚の感じに、冬の訪れを実感します。
「ひんやり」・・・
私はこの「ひんやり」を感じる度に、以前、この時期に関わったM.C.エッシャーの作品が頭に浮かんでしまいます。作品を最もよく見ていた時期に自分を包んでいた季節の温度感「ひんやり」が、その時の記憶(10年以上も前の事ですが)を喚起するのですね。もしかしたら私の場合、視覚と皮膚の記憶が、他の感覚に比べて少し近いところに収まっているのかもしれません。
また逆に、以前関わった作品を久しぶりに見た時など、まず蘇ってくるのもその時の皮膚感覚。先ほどのエッシャーのように、その作品と出会った時の周辺温度もあれば、その作品自体に感じた温度の場合もあります。・・・例えば植物画家ルドゥーテのバラの絵を見ると、どこにいても背中あたりにじんわりとしたあたたかさを。モネの『睡蓮』には、真夏に差し掛かる前の、半袖1枚がちょうど心地よい季節の温度を。
熱い・冷たい、気温で言えば暑い・寒いを両極に、何層もの豊かなグラデーションで表現されるこの皮膚感覚。匂いとともに、自分の体験しか指針のないとても主観的な感覚です。
作品に温度を感じる、とは、自分の皮膚記憶の喚起。
そこで今回のテーマは「この作品に、どんな温度を感じますか」。
このシリーズ「ひとり研修」では、これまで、作品解説に捉われず色や形など純粋に見えるままを言葉にしてみる事、そして先回は、そこにひとりデジタル研修ならではの「聴く」を足して、自由に解釈を広げてみる事をおススメしました。いずれも、PCやスマホの画面を見ながら、今この時点から新しい刺激を取り込んで広げられる感覚。
今回は「温度」・・・頼りになるのは、みなさんのリアル体験・記憶のみという事になりますね。
是非静かに、自分の記憶をたどりながら作品を鑑賞してみてください。皮膚感覚こそ、まさに「ひとり」のもの。氷の絵をみて、冷たさを思い浮かべるひともいれば、猛暑の日に入ったビルの冷気を感じるひと、雪を楽しんだ旅の記憶に温かさを感じるひともいるはずです。旅先での特別な体験はもちろん、日常生活で何気なく通り過ぎてきた皮膚の記憶が、ふと湧いてくるかもしれませんよ。

今月の作品は・・・

画像提供 Bunkamura ザ・ミュージアム

これは、ロシアの画家イワン・クラムスコイの《忘れえぬ女(ひと)》(1883年 油彩・キャンヴァス ©The State Tretyakov Gallery)
関東在住の人は、「また お会いできますね。」という台詞とともに、駅のポスターなどで彼女に見つめられた覚えがあるかもしれませんね。描かれているのは、馬車に乗った女性の姿。街並みを包む靄、屋根に積もった雪、女性がまとう毛皮・・・寒い冬の光景ですね。
作品の舞台はロシア、サンクトペテルスブルク。冬の最高気温が氷点下という土地ですから、場所を知ってしまうと、印象は迷わず「極寒」。マイナス10度程度までは体感したことがありますが、それだけをリアルに思い出すと、今すぐ逃げ出したい!
でもこの作品、ただただ背中を丸めて暖かい場所に入りたい、とは違った、背筋をピンと伸ばして歩かなければ、と感じさせるような、張り詰めた冷気を感じませんか?
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