2019年5月23日 更新

地方銀行の相次ぐ合併|変わっていく銀行の役割とは

ここ数年、合併のニュースが相次ぐ地方銀行。銀行合併というニュースを聞くと、「自分の貯金は大丈夫なのか」、「地域経済に影響はないのか」と心配になる方も多いでしょう。地方銀行はなぜ合併をするのでしょうか。そして、利用者である私達にはどのような備えが必要なのでしょうか。

先ほど経営統合の例として新潟県内第1位の第四銀行と第2位の北越銀行を挙げましたが、両者は新潟県内で長年しのぎを削っていました。
新潟県の人口は2007年には240万人あまりを数えたのに対して、2019年3月には220万人あまりにまで減少しています。将来的には早々に200万人を切るという予測も出ています。その状況で両行が取った手段が経営統合、合併という道です。これからさらに少なくなるパイを奪い合うよりも、ひとつになるという道を選んだわけです。

大手銀行も生き残りへ規模縮小の道を模索

Bank Queue Person - Free vector graphic on Pixabay (38300)

ここまで見てきたように、地方銀行の相次ぐ経営統合や合併には、「なんとかして難曲を乗り切りたい」という生き残りへの最終手段だったということがわかります。
しかし、それは地方銀行だけではありません。
2018年11月、三菱UFJ銀行と三井住友銀行の相互のATMの手数料無料化を発表しました。預金者の利便性の向上といった側面もありますが、将来的にATMシステムを統合して、両者のATMの維持費の抑制につなげたいという狙いが透けて見えます。
また、三井住友銀行、みずほ銀行、三菱UFJ銀行のメガバンク3行は、いずれも無人店舗の計画を発表しています。特に三菱UFJ銀行は2023年度までに全国に500あまりある支店のうち70~100店舗を店員がいない「セルフ型店舗」に切り替える目標を発表しています。これもコスト削減が大きな理由でしょう。

変わりゆく銀行の役割

1994年、マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツは「銀行は将来、なくなる」と言いました。当時は一笑に付す反応が多かったと記憶していますが、2019年現在、この発言を笑う人はどれほどいるでしょうか。
ただし、銀行そのものがなくなるとは考えにくいのも事実です。テクノロジーの発達とともに、確かに銀行の窓口やATMに出向く機会は少なくなりましたが、単純にお金を預けておきたい方、資産運用のプロのアドバイスを受けたい方、最適な金融商品を知りたいという方はいなくなることはないでしょう。
ただ、銀行の形はこれまでより細分化すると考えられています。資産運用が得意な銀行、金融商品が豊富な銀行、法人向けのサービスに特化した銀行など、銀行もより専門性が重視されるでしょう。私達利用者も、激動の時代をより上手く生き抜いていくためには、これまで以上に銀行選びが重要なファクターになるのではないでしょうか。

ミノワタケノブ

新聞記者、雑誌編集者を経て現在、フリーランスのライター&編集者。取材、執筆ジャンルは多岐に渡るが、ここ数年は経済ニュースがメイン。過去に東京電力株で大きな痛手を被った経験あり。
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