三木アリッサさんは、27歳とは思えない豊富なキャリアの持ち主だ。
大学在学中にプリザーブドフラワーショップの立ち上げに参画して楽天ナンバーワンショップに育て、卒業後は大手外資メーカーに就職しマーケティングを担当する。このとき、社会人1年目で現在のパートナーと結婚。その後、日本酒メーカーのスタートアップ、伝統工芸のECサイト立ち上げなどで実績を上げてきた。
アーティストや職人を元気にしたい
STAGE編集部:目まぐるしいキャリアですが、根底にあるモチベーションはなんでしょうか。
三木アリッサさん(以下三木): 私は、職人さんとか、アーティストのために力になれるような人になりたいと、ずっと思っているんです。実は、母がアーティストなんですね。彼女は、その業界ではいい賞をたくさんもらっているけど、全然儲かっていません。そのことがなんとなく、高校生くらいから、もやもやしていました。
考えてみれば、職人さんやアーティストが普通に儲かって、リスペクトされる社会こそ、今後日本で大事なんじゃないかな、と。というのも、クリエイティブ力こそが未来だと思うんですよね。職人さんたちが元気になれば、日本も元気になるんじゃないかなという思いで、キャリアを重ねてきました。
起業、外資、ベンチャーと経験しながら、ずっと日本の市場を見てきたんです。ベンチャーで伝統工芸のECサイトの立ち上げでは、結果は出せたのですが、ある課題にぶち当たりました。いくら職人さんたちをいま幸せにしたとしても、20年後もこの方法で幸せにできるのか? いや、できないなと思っちゃったんです。
少子高齢化で、日本のマーケットはどんどんシュリンクしていく。既に見えている未来です。今でさえ苦しいのに、そんな見えている未来に彼らをこのまま連れて行ったら失礼です。だから、グローバルで戦えるような人になりたいと思いました。
併せて思ったのは、中国やアメリカのように市場が大きくて、人もどんどん集まるようなマーケットのやり方をまねしても、多分もう無理だということです。そうではなくて、最初から、人も土地もないけれど、グローバルで戦っている国のやり方を学んだほうが、もしかしたら、日本の未来になるんじゃないかなと、当時思ったんですね。そこで目をつけたのが、イスラエルです。
「イスラエル女子部」でインフルエンサーデビュー
STAGE編集部:三木さんが注目されるきっかけとなった「イスラエル女子部」が生まれる前夜ですね。
三木:はい。イスラエルは、人口は900万人ぐらいしかいなくて、土地も四国ほどしかないんですね。でも、日本の2.3倍資金調達しているんですよ。日本の人口は、イスラエル人口の14倍、土地が18倍も大きいのに、資金調達の額は、彼らのほうが全然いい。このやり方をまねしてみたいなと思って、イスラエル専門商社に入って、ラッキーなことにイスラエル女子部というものを立ち上げることができました。イスラエルの記事を配信して、Newspicksでコメントを書いたり、イベントを開催したり、それが大バズりして、当時、過去最高売上の12倍まで更新でき、私も「インフルエンサー」として自分をブランディングできたんです。
インフルエンサーとしてやってよかったなと思うのは、「いいね」と言ってもらえるようになったことです。1年半ぐらい前は、「ジョブホッパーだ」「夢だけ語ってる奴だ」みたいに見られていたんですけど、最近は本当に「いいね。面白いね。頑張って」と応援してくれる人が増えました。
このまま、いろいろな人を味方につけてやっていきたいし、ひいては、次の若い世代が活躍するために、私のもらった縁を今度は同世代の若い人、若い男性女性関係なく配れるようになりたいと思っています。そのために、イスラエル女子部以外に、たとえばフィンランド女子部とか、いろいろな国の女子部を作りはじめています。世界には少なくとも190数ヵ国あるわけですよ。そのどれかで「私はプロです」って堂々と言える女性が増えれば、その分だけ、スポットライトが当たると思います。
イスラエル女子部を経て次なる挑戦は?
STAGE編集部:イスラエルとは今後どのように関わっていきたいですか?
三木:イスラエルにはすごく恩を感じているんです。私をこれだけパワフルにしてくれた国ですから。イスラエルは、出生率はOECD加盟国ナンバーワン、なおかつ、女性のマネジメントポジションも高いという事実を知ってから、こんなにパワフルになれたので。本当たくさんのイスラエル女性に会って、「子ども産めばいいじゃない。仕事も頑張ればいいじゃない」という、エールをもらったんですよ。その恩は忘れずに、引き続き日本とイスラエルのボンディングはしていきます。
STAGE編集部:ローカルマーケティングをひととおり経験し、昨年11月からプログラミング教育のLife is Tech!に在籍。次なる目標はなんでしょうか。
三木:アメリカに進出することです。スタートアップの会社で海外進出を本気で取り組んでいる会社はまだまだ少ないんです。この会社がアメリカ法人の立ち上げメンバーを探しているということだったのでジョインしました。