2017年5月2日 更新

Sell in May 突入で気にして欲しい2つの「額」

さぁ、5月に入りました。GWを満喫している人が多いと思いますが、投資をしている人には5月は少し気になる季節です。気になる原因はアノマリーではないでしょうか。アノマリーとは、理論的な根拠を持ってはいないけど、なんとなくよく当たる経験則のことをいいます。

gettyimages (2015)

2017.5.2
5月のアノマリーと言えば「Sell in May」、有名ですね。ちなみに、Mayのあとに続きがあることを知っていましたか? 正式には「Sell in May, and go away, don't come back until St Leger day. 」です。5月に売って9月2週まで相場に戻るなという意味です。最近では、このアノマリーも外れることも多くなり少し信憑性は薄れつつあるものの今年も注目です。さて、そんなアノマリーを横目に見つつ、みなさんに気にしてほしい注目の2つの「額」を紹介します。

Apple社が発表する、あの「額」

1つ目は、Apple社の決算発表で知ることができる、ある「額」です。

Apple社は、誰もが知っているあのiPhoneを発売している会社です。2017年5月2日(現地時間)に四半期の決算発表を行うことを予定しています。その発表の中で、私が注目しているのは、売上「額」や、利益「額」ではありません。実は、現金の保有「額」に注目しています。これが、注目してほしい1つ目の「額」です。
今回、Apple社の現金保有額は、2500億ドル(27.8兆円)に達する見通しですが、2015年にある記事を読んだときは衝撃を受けました。その記事には、アップルの現金保有額は25兆円とありました。この額は2位のマイクロソフトの2倍もあり、トヨタの時価総額は日本で一番大きいのでは約20兆円なので、極端ですが現金で日本で一番大きな企業をポンと買えるというわけです。Apple社凄すぎます。
istockphoto (2021)

でも、私は「現金額が多い!」という理由で注目しているわけではありません。
それは、先月、トランプ大統領の税制改正案が発表になったからです。その発表では、法人税率を現在の最高35%から最高15%へ減税するという大胆な提案がされました。目的は、どうやらアメリカを減税王国にして企業に本国回帰を促すことを目指しているようです。
さらに。これに加えムニューチン財務長官は、多国籍企業が国外で溜め込んでいる何兆ドルという「額」に対して、米国企業の海外資産課税というのを「一回だけ発動」する計画があると公言しました。海外にある現金に課税をするという大変な税制です。税率や時期などは不明のようですが、Apple社などの現金を海外に溜め込んだ(90%は米国外にあるようです)多国籍企業には大打撃です。Apple社の株価を予想するにはiPhoneの売れ行きより、よほど税制に注目する必要がありそうです。

このように、現金保有「額」をきっかけにして、堅調な米国企業の業績の命運は、実は税制が握っているということに気が付かされました。
thinkstock (2025)

ドライブシーズンに気になる、あの「額」

次に、2つ目の「額」ですが、それはガソリンの金「額」です。みなさんは、米国にドライブシーズンと言われる時期があるのをご存知でしょうか? 5月の最終月曜日(メモリアルデー)から9月の第1月曜日(レーバーデー)までをいいますが、この時期は、一番ドライブをする人が多くなることからこのように呼ばれているそうです。ガソリンの値段が一番高くなる時期です。さて、そんなドライブシーズン中でも、今年に限っては、もしかしたら値段が上がらないかもしれないと注目が集まっています。
不思議ですよね。今年はドライブシーズンに加えて、朝鮮半島、中東地域の情勢不安などで値段は上がって当然な気がします。しかしながら、現在時点で1バレル50ドルと安定しています。その背景は、アメリカのシェール・オイルの生産が好調に拡大してことがありそうです。本来、米国のシェール・オイルが増産されることで原油供給量が増え値段は下落するはずですなのですが、朝鮮半島などが情勢不安なことにより有事の原油需要も増加しており、この2つが相殺しあって価格が安定しているのです。
Free photo: Pump Jack, Oilfield, Oil, Fuel - Free Image on Pixabay - 848300 (2029)

つまり、今後はこの2つの要因が変化することで値段が変動していきます。原油価格が動くと経済に大きな影響を与えるので5月以降の大注目材料です。そこで、皆さんにはガソリンの金「額」を気にしてもらうことで、いち早くこの変化を感じ取ってほしいと思っています。

このように、みなさんが目にするニュースには、複雑にいろいろなことが絡み合っています。アノマリーをそのまま信じるのではなく、このようにニュースの真相を知る習慣を身に付けてください。身に付けるためには、最初にニュースの見出しの「背景」を自分で考えてみてください。
その後、その「背景」を生み出した「その背景」をもう一歩進んで考えてみましょう。このように背景を「3次まで展開」する習慣を身につけることができれば、短期間でニュースを読み解く達人になれるはずです。

渋谷 豊

渋谷 豊
ファイナンシャルアカデミーグループ総合研究所(FAG総研) 代表・ファイナンシャルアカデミー取締役/シティバンク、ソシエテ・ジェネラルのプライベートバンク部門で約13年に渡り富裕層向けサービスを経験し、独立系の資産運用会社で約2年間、資産運用業務に携わる。現在は、ファイナンシャルアカデミーで取締役を務める傍ら、富裕層向けサービスと海外勤務の経験などを活かし、グルーバル経済に関する分析・情報の発信や様々なコンサルティング・アドバイスを行っている。慶応義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。ファイナンシャルアカデミーグループ総合研究所 http://fagri.jp/ファイナンシャルアカデミー http://www.f-academy.jp/
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