2019年4月5日 更新

2月の元FRB議長グリーンスパン氏のコメントに注目

3月20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で2019年の利上げ見通しが「ゼロ」となる見通しが示されました。市場の期待通りにFRBがハト派的な姿勢を示したにもかかわらず市場は落ち着きを見せていません。市場の不安定さの原因の一つが2月に報じられたグリーンスパン氏のコメントの中で見つけることができました。

gettyimages (35257)

2019.4.5

結局のことろ世界経済を左右しているのは米国の金融政策と中国経済

gettyimages (35260)

みなさんの記憶に新しいと思いますが2018年2月と10月に米国株式市場は大きく下落しました。その原因は米国長期金利の急上昇だとされています。
それ以前の2017年米国株式相場は、政策金利こそ利上げが開始されていましたが歴史的に見て低金利の環境下にあったことから強気相場を形成していました。しかしこの強気相場の裏では、2016年12月の利上げ開始、2017年のFRBバランスシートの縮小といった超緩和的な金融相場からの卒業による相場の変調が徐々に進行していました。
それからも市場環境は目まぐるしく変わりましたが、FBRは金融政策の正常化を目指し粛々と利上げの継続、そしてバランスシートの縮小を行ってきたのですが、2018年12月以降の株価の大幅下落(市場の催促、催促相場)に屈する形で2019年1月からハト派的政策へとかじを切り、そしてついに2019年3月20日のFOMCで2019年の利上げなし、12月終了予定の資産縮小も前倒しして9月に終了と市場に対して満点の回答を行いました。
しかし、市場はそれでは満足しませんでした。イールドカーブが逆イールドになったからだとか、経済見通しが明るくないから緩和政策を選択したんだなどといった理由を並べ、株価の見通しに対してあまり強気にはなれないようです。
今回はこのような市場の動きに対する分析ではなく、FOMC後のハウエル議長のコメントに注目すべきことがありました。これについて考えて見たいと思います。それは、パウエル議長の「インフレという観点では悩んでいない」、「インフレの低下圧力は大きなチャレンジ」というものです。
gettyimages (35275)

これによるとパウエル議長は現時点であまりインフレを懸念していないようです。しかし、市場の反応は異なります。このインフレを助長するようなFRBの政策転換は将来的にはバブルを形成することになります。
新聞等ではイールドカーブの逆転(10年と3カ月の金利)が話題になっていますが、5年と30年の金利差はFOMC後に逆に広がりをみせており将来の長期金利の上昇(インフレ率上昇)を示しています。私がこの時点でお伝えしたいのは、今回の政策転換で市場はインフレに注目をし始めているということです。
と、ここで、一旦米国金融政策の話は中断して中国経済の現状を確認してみたいと思います。最近は、中国の経済減速についての報道が増えていますが、そもそも中国の景気後退は2018年の初頭から始まっています。今に始まった話ではありません。ましてや米中貿易戦争がきっかけではありません。
中国は、持続的な成長を目指し2017年から過剰設備投資と過剰債務の整理を粛々と進めてきました。その結果、今回の景気減速が始まったとされています。実は、2014年から2016年にも同じような取り組みが行われその時も景気後退を招きチャイナ・ショックが起こりました。
今回、景気後退の兆しを受けて中国政府は国債の発行増、預金準備金の引き下げなどの緩和的な金融政策による経済対策を行い復調を目指しています。しかしながら、このような金融政策だけでは6%以上の経済成長をこれからも維持できるかは疑問です。そもそも成長自体が鈍化し始めている中国において、これまでの高成長を維持するのは更に強力な財政出動などが必要になると市場は捉えています。
25 件

関連する記事 こんな記事も人気です♪

日本人ノーベル賞受賞者が出た「電池」次世代電池の研究開発最前線は?

日本人ノーベル賞受賞者が出た「電池」次世代電池の研究開発最前線は?

11月11日は「電池の日」。10月9日、「リチウムイオン電池」開発の功績で吉野彰博士がノーベル化学賞を受賞しました。「全樹脂電池」「リチウム空気電池」「全固体電池」など次世代電池の開発競争もますます盛んで、最前線では日本人科学者も活躍しています。
経済 |
プチプラの次は?フォーエバー21の破綻に見るファッション業界の行方

プチプラの次は?フォーエバー21の破綻に見るファッション業界の行方

断捨離した後の服の行方を考えたことがありますか。経済的な成長の裏にはほとんど犠牲が伴い、堅調な成長を見せるファストファッション市場もその一例です。しかし今、利益追求を優先しすぎたファストファッション業者のモラルと、消費者の良識が問われる時期がきたようです。
経済 |
欧州経済の「日本化」が進んでいる?今後最も避けたい3つの恐怖

欧州経済の「日本化」が進んでいる?今後最も避けたい3つの恐怖

9月12日に欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が発表した総合的な金融緩和策では、欧州の低成長と低インフレの長期化を阻止するのに不十分であると市場の評価は冷ややかです。いかなる金融政策を講じても経済回復に至らない「低成長」「低インフレ」「デフレスパイラル」という日本化が本当に欧州圏で進んでいるのでしょうか。
今年の秋は10月からスタートする米国企業の業績発表に注目

今年の秋は10月からスタートする米国企業の業績発表に注目

最近では、トランプ大統領の中央銀行への圧力や世界的に広がる貿易戦争などのトピックスに対して反応が鈍くなっているように感じます。一方で、景気の弱さと企業業績の不透明感が徐々に台頭していることについてはニュースとしてあまり取り上げられてないので知られていません。
ウェルネスブームが世界中で止まらない!4兆ドルの経済効果と背景

ウェルネスブームが世界中で止まらない!4兆ドルの経済効果と背景

マインドフルネスをはじめとした、ウェルネス(健康を維持、増進させようとする生活活動)に興味を持つ人が増えつつあります。ウェルネスツーリズム、アプリなど新たな商品が出回り、今やウェルネス産業の市場規模は4.2兆ドル以上。このブームの実態や背景、昨今のトレンドについて解説します。
経済 |

この記事のキーワード

この記事のキュレーター

渋谷 豊 渋谷 豊
お金の教養講座
お金と投資のセミナー情報(無料)

お金の教養講座

おすすめ

お金の教養講座

⼤⼈として知っておきたいお⾦の知識。
⼈⽣そのものを充実させるためのお⾦の基礎講座

コロナショックに負けない
「今&未来の家計防衛術」セミナー

コロナショックに負けない家計になるための
お⾦の知識を学べる講座

「ビギ卒」株式投資セミナー

どんな株価相場でも、チャンスに変えて
安定した利益が出せる投資家になるための講座

お金の教養講座 for woman

ランチ時間にサクッと気軽に学べる⼥性のための
マネー⼊⾨講座です。


ファイナンシャルアカデミー公式SNS