お金持ち(上級国民)は法的にも有利なのか?

お金
日本には本当に「上級国民」と言える人がいて、法的に有利な扱いを受けているのか? 「上級国民」の実際について、多くの法的問題を取り扱ってきた弁護士の意見を聞いてみた。

【ある20代女性より質問】
お金とか権力を持っている人は、法的にも有利に扱われると聞いたことが有ります。例えば、池袋の暴走事件を起こして犯人は、人を殺しているのに逮捕もされずにいます。今の日本には、現実に法的に優遇されている「上級国民」がいると考えて良いのでしょうか?弁護士さんに、実体験に基づいての意見をお聞きしたいです。

池袋暴走事件で浮上した「上級国民」というキーワード

「上級国民」という言葉が流行ったのは、池袋の暴走事件からですね。犯人はアクセルとブレーキを踏み間違えて、車を暴走させた上、死傷者を出しています。それでも逮捕されなかったのは、犯人が偉い官僚で「上級国民」だからだろうなどと言われているわけです。

似たような事件で、「一般国民」の扱いとの違いは?

ただ、交通事件をいくつも扱っている私の感覚からすると、池袋の事件で逮捕されなかったのは、それほどおかしなことではありません。というより、ごく普通のことです。
私が弁護した事件でも、単純に信号を見落として人をひき殺した、80歳の犯人は逮捕されませんでした。その人は、年金暮らしの「一般国民」です。助手席の彼女と話していて、単純な前方不注意で人をひき殺した青年も、逮捕されませんでした。彼もごく普通のサラリーマンです。
池袋の事件で、「上級国民」だから逮捕されなかったというのは、何か誤解があるように感じられます。一般的に逮捕までされるのは、お酒を飲んでいた場合、逃げた場合、プロのドライバーの場合などです。そうでなければ逮捕まで行かないほうが通常です。

「上級国民」の特権は本当にある?

それでは、「上級国民」の特権は全くないのかと言いますと、そうとも言い切れません。政治家や警察の上級幹部は、交通違反を見逃して貰えるという話はよく聞きます。他の弁護士から、交通違反で捕まったときに、「先生、しょうがないですね。次からは注意してください。」と見逃して貰った話を聞いたことが有ります。ちょっとした犯罪の場合、「上級国民」が有利に扱われることは本当にありそうです。

お金持ちは有利に扱われるのか

そもそも近代法は、おカネを持った市民階級が策定したものですから、お金持ちに有利に働くのは当然といえるでしょう。
お金持ちの場合は、法的に有利に扱われるというよりも、ごく普通に法律を適用すれば、そもそもお金を持っている人の方が有利になるように、法律が出来ていると考えるのが正しいと思います。お金を使って、弁護士その他の優秀な専門家を使えば、特別扱いをされることなく、公明正大に良い結果を期待できるのです。
他人のことを「上級国民」と言ってひがんでいるよりも、少し勉強するだけで今よりお金持ちになれるはずですから、すぐに取り組むべきだと思いますね。

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