2019.7.23
富裕層と貧困層との違いその1:教育格差
富裕層と貧困層との違いを考える時、避けて通れないのが教育格差の問題です。
内閣府政策統括官(共生社会政策担当)などによれば、日本の子供の相対的貧困率は、現在OECD加盟35カ国の中でも最悪のレベルになっています。概ね6〜7人に1人程度の子供が貧困問題に直面していると考えられるのですね。貧困層の子供は、経済的制約により医療や食事、学習機会や進学などの面で極めて不利な状況に置かれやすいことは、容易に想像が付くでしょう。
しかも、教育を受ける機会に恵まれない方ほど、止むを得ず非正規雇用となるリスクが高い実態もあります。正規雇用との所得格差は3倍程度にもなり、雇用・所得も不安定になる傾向が強いようです。今や新卒での就職さえ、非正規雇用であるケースは珍しくなくなってしまいましたね。幼少期の教育格差は、生涯所得や資産形成に大きな違いを生む原因になりやすいことは、最早否定できない現実となっています。
結果、貧困層に生まれた子供は、成人した後も貧困層から脱却できず、さらにその子供も貧困層として育ってゆくという、負のスパイラルが続きやすいのです。他方、富裕層に生まれた子供では、幼少期から十分な教育機会を与えられ、高学歴となりやすい傾向にあります。
例えば、東京大学に在籍する学生の大半が年収1000万円以上の家庭で育っているということは、以前話題になっていましたね。
貧困層がこの教育格差(教育を受ける機会の違い)を突破してゆくためには、インターネットなど情報通信技術を積極的に活用し、オンライン教育を普及させることも一手になると考えられます。
富裕層と貧困層との違いその2:情報格差(情報リテラシー能力)
ここで言う情報格差とは、インターネットなどの情報通信技術を効果的に活用できる方と、できない方との間に生じる格差を意味します。富裕層ほど良質な資産を多く持つのみならず、様々な情報にも容易にアクセスしやすくなっていることは確かでしょう。他方、新しい情報通信技術の受け容れが困難な高齢者や、PC・スマートホンを所有できない貧困層では、テレビ・ラジオなどの旧来のメディアや、知人からの口コミなどが主な情報源になりやすく、意識レベルの高い層や、富裕層との情報格差が日々拡大していると思われますね。
仮に、貧困層がPCやスマートホンを所有していても、SNSや動画閲覧、無料通話・チャット、天気予報など日常サービスでの利用が多く、目的ある情報収集や教育などには十分活用できていない傾向が強いとも言われます。例えば、私の小・中学校時代の幼馴染みと、社会人時代を含めた高校・大学以降の友人・知人たちのPCやスマートホンの活用の仕方を見比べると、確かにこの傾向は否定できないのかなとも感じますね。
加えて、情報リテラシー能力の問題があります。メディアが一方的に報じたり、ネット上で素人が遣り取りしたりしている情報は、今や玉石混淆の状態です。適切に有用な情報を取捨選択できる知力・ノウハウがないと、いたずらに情報に振り回され、誘導されて終わります。情報格差と、情報を適切に取捨選択できるリテラシー能力の違いが、富裕層と貧困層との「結果の違い」を生む原因の一つになっていることは、ある程度確かではないでしょうか。